▼再生資源が軒並み価格を下げる中、古紙だけが高止まりしている。十月には、ついに鉄スクラップが古紙より安値を付けた。こうした現象は九十年代前半にも起きたが、古紙輸出が始まってからは初めて。古紙が唯一の稼ぎ頭となれば、他の再生資源業者などが古紙事業に参入する動きも活発化する。古紙の発生そのものが減る中、仕入れ競争はいっそう過熱味を帯びそうだ。
▼行政が実施する競争入札でも、利幅はますます薄くなっている。自治体は収集コストが膨らみ、売却益を出来るだけ最大化させる方向になびく。一方で廃棄物や資源の収集は、民間に比べて効率性の低いケースも散見される。将来的にはコストを抑える流れも避けられないだろう。大阪市では収集運搬を完全民間委託に切り替える方針で、全国的にも広がる余地がある。
▼政令指定都市には、「政府調達に関する協定」という定めがあり、物品やサービスの発注を内外に開かなくてはならない。すでに水処理事業では、フランスの民間企業ヴェオリアが複数の自治体から落札。同社の売上は三兆円という水道メジャーで、廃棄物処理事業にも強い。欧州での古紙扱い量は年間五百二十万トンだ。日本の古紙に参入しうるのは国内異業種だけでない。
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