2004年4月12日 オピニオン » 586号

コラム「虎視」 586号

コラム「虎視」

▼過日、NHKから電話あり。「中国向けに古紙の輸出が増えために、国内が不足して値段が上がっていると聞く。ついてはこのテーマで古紙を取り上げたいのだが」と。そこで「昨年、新聞古紙は下がったし、家庭紙向けの古紙も今年に入り値下がりしている。一昨年、輸出が増え、価格が上がったのは確かだが、昨年夏場から逆の現象が出てきている。輸出が増えたから古紙が値上がりしたというのはいまは当たらない」と。

▼新聞古紙にしても家庭紙向け古紙にしても国内需給が緩んだから下がったわけだが、輸出が増えているのになぜ需給が緩むのか理解しにくいようだった。昨年、中国は938万トンもの古紙を輸入した。前年比251万トン増の驚異的な伸びである。これだけ増えれば価格は高騰すると思いこむ。しかし、輸出相場は一本調子では上がらないし、輸出国は日本だけでもない。輸出相場のプライスリーダーは米国だ。

▼中国が日本から本格的に古紙を買うようになったのは2001年から。今年でまだ4年目だ。中国の台頭で古紙の貿易量が増大したといっても、輸出相場は思惑で動くころもある。かっての日本はこの輸出相場の蚊帳の外にあり、高騰しても輸出がほとんど増えない時代があったのだから。

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