2024年12月2日 オピニオン » 1601号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 働き方改革によって古紙業界ではドライバー不足に陥る懸念があった。時間外労働の上限規制(年間960時間)が敷かれ、従来の人員では回収業務が回らなくなり、安定的な古紙回収のインフラが崩壊する恐れすらあったのだ。この危機を乗り越えるアプローチとしては2つある。人手不足を補う正攻法か、残業ルールの抜け道を探る奇策だ。

▼前者は年間休日を120日に設定し、有給や育児休暇の消化など徹底した福利厚生を図り、求人の目玉にするやり方だ。副業規定も設けるなど、柔軟な働き方も奨励する。一時的な人件費増となってしまうが、応募者の増加と離職率が下がるメリットは大きい。ある業者は「休日増は不可能と思っていたが、意外に現場は回っていくもの」と語る。

▼一方、後者はドライバーを個人事業主にして、回収業務を委託する形だ。一見、不安定な働き方にみえるが、ドライバーに車両を供与し、仕事を振り分ける。回収量に応じた口銭の中から燃料代などの経費を工面してもらい、残りがドライバーの報酬だ。この場合、残業規制に縛られず、手取り額が正社員より多くなるケースも多い。稼ぎたい、働きたいという意欲のある人には向いている。不平等感もなくなるため、全社的に拡げたいという経営者もいる。

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