▼1990年代までの中国の製紙産業は、年産100万トンメーカーは1社もなく欧米や日本に比べて生産性では大きく後れを取っていた。ところが前号に報道したように、ナインドラゴン(玖龍紙業)は本社・東莞工場に11台、太倉工場に4台、合計15台のマシンを保有し、年産能力は板紙だけで500万トンを超えた。白板紙が2台、段ボール原紙が13台である。これらのマシンのスピードは毎分1,000メートルを超えるものが多い。
▼一方、国内を振り返ると板紙マシンで1,000メートルを超えるのは王子板紙・釧路工場とレンゴー・八潮工場にそれぞれ1台あるものの合計2台だけ。最新鋭マシンといえば王子製紙・富士工場に2001年に完成した白板紙マシンがある。日産650トン(年産23万トン)でマシンスピードは800メートル。王子にとって28年ぶりの新増設で、当時としては世界最速のマシンといわれた。ところがその後、寧波中華紙業が1,000メートルを超える新マシンを導入、この記録も中国に破られてしまった。
▼日本の板紙業界は再編統合で集約化されたが、マシンの規模や生産性では中国に比べると劣ることになった。中国の驚異的な設備増強をみていると、日中のこの差はますます拡大しそうで、縮まらないだろう。
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