2021年9月6日 オピニオン » 1441号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 米国の家庭系古紙は他の資源物と混載回収されるので、日本人が考えているものとは全く違う品質である。特に酷いのが、割れたガラスが混入しているものや、缶に残った残液が付着しているもの、生ごみや食品残渣の付着も多いことだ。あるインドネシアの製紙メーカーは、米国のMIX古紙の中にあまりにもPETボトルが混入しているので、PETボトルのリサイクル工場を作ろうとしたほどである。この品質では、家庭から回収した古紙を米国の国内メーカーは使いたがらない。スーパーや商業施設から排出される事業系段ボールや、印刷工場や段ボール工場等から排出される産業系古紙ばかりを欲しがり、家庭から排出される低品質の古紙は主に輸出用だった。

 ▼しかし世界的にネット通販の需要が拡大し、家庭から排出される段ボール古紙の量が大幅に増えた。米国では新たな段原紙マシンが次々と立ち上がり、段ボール古紙の国内消費量が急激に増加している。AF&PA(米国森林パルプ協会)は、家庭から排出される段ボール古紙の品質向上を、今後の課題に挙げている。国や州が補助金を付けて、各家庭から段ボール古紙だけをパッカー車で回収する方式や、拡大生産者責任でパッケージを回収する方式等が議論されている。

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