
昨年12月に英国を訪問した。英国で驚いたのは、一般的な古紙仕入れ価格が逆有償になっていたことだった。英国は歴史的に、自国の製紙産業を発展させるというよりは、森林資源が豊富で製紙産業が盛んな北欧に頼ってきた。製紙の自給率は42%で、残りの58%は輸入している。
▼自給率が低いので、国内の古紙消費量も限られており、古紙は必然的に余る。そうすると輸出せざるを得ない。2000年以降、中国は世界中の古紙をがぶ飲みしてきたが、英国は米国や日本と同様、中国向け輸出量を急激に拡大した。欧州では2番目のGDPを誇りながら、自国の古紙消費量が少なく、中国にとってはまさにうってつけの古紙輸入国だったと言える。
▼しかし中国の環境規制の強化と共に、英国の古紙ビジネスは崩壊した。欧米ではシングルストリームの回収方式が主流で、ビン・缶・PET・古紙等の各資源物を混合回収し、資源化施設で分別する。だが品質的に問題があり、環境規制で基準を強化した中国から結果的にノーを突きつけられた。このような状況下で産廃業者は処理費用を貰って処理せざるを得ず、ごみ化する量も増えている。中国の古紙輸入禁止は目前。英国とは状況が異なるが、日本でも対応が迫られる。
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