▼1970年代、全国の街頭にちり紙交換の車が溢れていた。その時代のチリ交の群像を軽妙な筆致でつづったのが伊藤昭久氏の「チリ交列伝」だ。当時のチリ交基地業者の大手・伊藤興商につとめ、毎日、営業所の所長としてチリ交と接していた体験がこの本に生かされている。チリ交の基本は流しであり、「大量集荷が高収入につながるという単純明快な商売で、理屈抜きに金儲けのために古紙を回収していた。ただそれが結果的に資源のリサイクルという社会の要請に応えていた」と氏は振り返っている。
▼そのチリ交も90年代に入り凋落した。①新聞販売店回収②集団回収③行政回収が相次いで普及し、流しをしても古紙が集まらなくなったことや、価格が長期にわたって低迷したことによる。ところが近年、価格が少し回復し集めれば売れる時代になったことで、チリ交が一部地域で復活しつつある。運転免許さえあればできる商売だからである。
▼もっとも流しをして集まるのは②が壊れ、①や③の回収システムが普及していない地域に限られる。例えば大阪市のように。②③が普及した地域では流しをしても集まらない。そこでそうした地域では集積所に出ているものを抜き取るという行為に及ぶ。これが社会問題化しているわけだがー。
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