
時は明治時代、商人が集う大阪の街で薬問屋の奉公人として佐助は働いていた。主人の次女である春琴(しゅんきん)は、9歳の時に病気で失明するが、盲目ながら美貌と類まれな三味線の才能を開花させ、佐助は弟子兼世話係として献身的に彼女に仕えた。しかしある日、屋敷に侵入した何者かが春琴の顔に熱湯を浴びせて火傷を負ってしまった。佐助は美しい春琴の面影を永遠に脳裏に留めるため、自らの両目を針で突いて失明させ、春琴への生涯の愛を貫く道を選んだ。
これは谷崎潤一郎の代表作である「春琴抄」の小説のくだりである。22年、この小説を題材にした宝塚歌劇団の花組公演「殉情」で、盲目の春琴に仕えながら究極の愛を貫く佐助を見事に演じたのが、当時花組男役スターの「帆純(ほずみ)まひろ」だった。11年に宝塚音楽学校に入学して以来、初めての主演となった。
この初主演の公演には行けなかったが、同年7月7日に同じ花組の公演「巡礼の年」を観に行った。ここでは主人公であるピアニストのライバルを帆純まひろが演じており、圧倒的な存在感を放っていた。この時、私は人生で初めて宝塚歌劇団の公演を観たが、今までに経験したことがないほどの感動を覚えた。ちなみにかつてのスーパースターであるマイケル・ジャクソンは、日本の歌手やダンサーには全く興味を示さなかったが、ある時に観た宝塚歌劇団は「本物のプロフェッショナルで素晴らしいステージだ」と評したという。
帆純まひろは24年の「アルカンシェル」公演を最後に宝塚歌劇団を退団し、現在は芸能活動を行っている。ご存じの方も多いと思うが、レンゴー㈱・代表取締役会長兼CEOである大坪清氏の孫娘である。今後の更なる活躍を期待したい。
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