2026年9月14日 オピニオン » 1688号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 大阪府紙料協同組合の須田理事長(須田商店社長)から、昨年奈良の吉野で紙漉き体験合宿に行ったという話を聞いた。

動機を聞くと「紙に携わる仕事をしているので、紙のルーツである和紙のことを学びたかった」という。

よくある紙漉き体験とは一線を画し、4日間住み込みで原料の伐採から釜焚き、そして朝から晩まで紙漉きを行うという本格的なものである。

 中国から紙が伝わってから1000年以上、紙と言えば和紙であった。和紙のルーツは諸説あるが、日本書記には飛鳥時代の610年、中国から日本に製紙技術が高句麗を経由して伝来したと記されている。

日本最古の和紙は702年に作られた美濃和紙で、和紙は美濃・越前・土佐が三大産地だった。飛鳥時代に、これらの製紙技術が大和国に伝わったと言われている。

 吉野の国栖村では、洋紙が普及する前は、村の半数の300戸ほどで和紙作りが行われていた。

昭和の初めに吉野を訪れた作家の谷崎潤一郎は、「あたかも漁師町で海苔を乾かすように、街道の両側や丘の上を埋めつくして、真白な色紙のような和紙が干されていた」と記述している。

今秋、この紙漉き合宿に申し込んだのだが、最少催行人数に達せずに中止となった。来年には是非とも参加したい。

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