
伊坂幸太郎著の「重力ピエロ」を読んだ。アマゾンのミステリー小説ランキングで、先月以来、売れ行きが急上昇中である。
競馬好きの方ならこの名前を聞いただけでピンと来るはず。2026年5月24日に東京競馬場で行われた3歳牝馬クラシックのオークス(G1・芝2400m)で、今村聖奈騎手が騎乗するジュウリョクピエロが見事に優勝した。日本人の女性騎手としては史上初めてのG1勝利であり、歴史的な勝利となった。今村騎手は2022年デビューで5年目だが、クラシックレースは初めての騎乗だった。
小説の「重力ピエロ」は、サーカスのピエロを連想させるコミカルな名前とは裏腹に、とても重々しいテーマのミステリー小説である。主人公の泉水(イズミ)の弟の春(ハル)は、母がレイプ事件の被害にあったことで生まれてきた子供である。やがて自分のルーツを知った春は、生まれてきたことを思い悩む。兄や両親とは家族の絆を感じながらも、やがて事件に巻き込まれていく。
重力ピエロの回想シーンで、幼少時に両親とサーカスに行った時のことが描かれている。ピエロが空中ブランコに乗った時、兄弟は落ちるのではないかと怖がった。でも両親はこう言った。「ふわりと飛ぶピエロに重力なんて関係ないよ」。
東京コースの長い直線で、世界的な名手のルメール騎手とレーン騎手の馬の間を割り、ゴール板を最初に駆け抜けたのがジュウリョクピエロだった。まさにふわりと飛ぶピエロであった。
ちなみにまだ日本の競馬界で達成出来ていないのが、世界的なレースである凱旋門賞の制覇だ。ジュウリョクピエロは、今年10月4日にパリで行われる凱旋門賞に仮登録されている。日本競馬界全ての関係者の悲願である凱旋門賞で、再び重力を物ともせず、飛ぶようにゴール板を駆け抜けることを願う。
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