2026年7月20日 オピニオン » 1681号

「ちょっとブレイク」
~特別編~

ちょっとブレイク」

 先日、日資連の全国大会が福井県で開催された。特別記念講演の講師として、福井県出身のアパホテル株式会社の代表取締役社長・元谷芙美子氏が登壇した。

 会場入り口に立ち「みなさんこんにちは!」と発した声は、マイクなしにもかかわらず、会場中に響きわたった。芙美子氏は今年で79歳になる。今年2月11日に夫でありアパグループ創業者・会長を務めた元谷外志雄氏を亡くされたばかりではあるが、小柄な体型であるものの、エネルギーと知性に溢れた人だと感じた。

 アパグループは創業55周年を迎え、3年連続で過去最高売上高を更新している。2021年の時点で、世界のホテル企業を対象とした売上高に特化したグローバルランキングでは19位にランクインしている。

 創業以来、なぜこのように躍進できたのかと言えば、他社が真似できないオリジナルシステムを導入したことにある。一番有名なものはキャッシュバックシステム。一般的なポイント制度では、ポイント還元によって次回の予約時に安くなるといったものが多い。しかしアパホテルでは、10回宿泊するとフロントで現金5千円を受け取ることができる。そしてステージが上がると還元率も上がり、還元額も増えていく。

 2022年に長男の元谷一志氏がアパグループ社長兼CEOに就任し、今後は海外進出もこれまで以上に加速する見込みだ。これまではアメリカでの展開が多かったが、それ以外の国への進出を試みていく。またこれまで飲食・清掃部門は外部に委託してきたが、これらの分野でのM&Aを今後視野に入れている。

 芙美子氏曰く、「資産が有り余っている」とのことで、一説には一兆円を超えているとも言われている。社長として会社や社員を支えていくには、圧倒的なリーダーであることが求められる。社長たるもの、「七転び八起き」ではなく、「一度も転げてはならない」との意気込みであり続けることが大事だと話す。

 こんな例え話もしていた。株式会社ライオンのライオン社長と、優秀で心優しいヒツジ社員が100人いるとする。社長がライオンであれば、心優しい100人のヒツジでさえも、社長の力でライオンに変えることが出来る。これこそが社長の本質であるという。 また最前線で社内外の情報をキャッチするため、芙美子氏は社長室を設けておらず、今もなお本社の営業室で受付をしながら、業務を続けている。

 元谷夫妻はもともと銀行員で金融業出身であることから、独自のマーケティングと堅実な経営でグループを急成長させてきた。ホテル産業に参入して43年目。斬新なアイディアと行動力で会員数と実績を伸ばしてきたアパホテルグループは、更なる成長と躍進の期待が掛かる。

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