2007年5月7日 オピニオン » 736号

コラム「虎視」 736号

コラム「虎視」

▼再生PETボトルからカーペットなどを製造している根来産業(本社・大阪府貝塚市)に電話をして工場見学が可能かどうか、聴いてみた。返ってきた答えは工場設備をタイと天津に移設したので、貝塚の工場には再生PETボトルの処理設備しかなく、案内する専属の担当者もいないのでとやんわり断られた。処理設備とは回収したPETから異物を除去し、洗浄・粉砕してペレット化する設備のことである。

▼根来産業は再生PETボトルを利用してカーペットを製造する草分け的な存在。容リ法ができ、PETが集まるようになったが、それまではPETのリサイクルがゼロに近い状況。使用するメーカーも根来産業以外に見あたらない状況がしばらく続いた。それが中国の登場で、高値の輸出が可能になるとビジネス環境は180度転換。容リ協会が発表した今年度の落札価格はトン3万8,900円、キロ約39円。通常は落札事業者が協会から代価をもらうのだが、PETに限っては代価を払う羽目に。

▼こんな環境になればPETからカーペットを日本で製造してもコスト的に合わないのだろう。早々と日本を見限り、タイや中国に設備を移設したことになる。リサイクルビジネスは浮沈が激しいというが根来産業にその姿を見る思いがした。

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