いつの時代でも人の気持ちを動かすのは熱量だ。それは仕事でもプライベートでも同じで、良い商品を作りたい、良いサービスを提供したい、良い記事を書きたいという仕事の熱量、家族や子供を幸せにしたいというのも熱量だし、ゴルフや語学が上手くなりたいというのも熱量である。
▼カンボジアで2014年からバナナペーパーを作り続けるKumaeの山勢代表には、抑えきれないほどの熱量を感じた。19歳の若さでカンボジアへの移住を決断し、この国のために何か力になりたいという思いは、30歳を超えた今でも変わらない。コロナ禍で紆余曲折がありながらも、カンボジアの貧しいアンルンピー村で村人たちに仕事を提供し、苦労を糧にして現地に溶け込んでいる。
▼帰国してからふと自分の20代を思い出した。27歳まで東京でプラプラしていたが、お金を貯めて3カ月間のタイ一周旅行に出掛けた。初めて訪れた海外だったが、どんな小さな店でも、どんなに貧しい地域でも、人々は笑顔を絶やさずにとても親切だった。人間の本質や本当の幸せは何かと考えさせられた。同時に自分が恵まれた環境にいながら、不甲斐ない生活を送っていたことを恥じた。アジアの国の熱量が自分の熱量に変わった瞬間だった。
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