2020年11月2日 オピニオン » 1400号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 今年の印刷情報用紙の国内出荷は約2割減。同時に上物古紙や機密古紙の発生も激減している。デジタル庁創設や脱ハンコなどで今後も行政・教育分野でペーパーレスの流れも加速する。一方で、家庭紙の生産は1%増と堅調に推移。家庭紙メーカーは製品の供給責任から、迫り来る古紙不足に危機感を募らせている。

 ▼最近の各社の製品ラインナップにもパルプ配合品やパルプ製品が目立つ。丸富製紙の「Hanataba」(パルプ100%)、特種東海Eの「エコロジープレミアム」(パルプ配合品)、信栄コアレックスの「ちゃこぺろ」(段ボール古紙100%)など。特に茶系トイレットは消費者の支持を得られるか要注目だ。日本家庭紙工業会によると、今年上期のトイレットの原料別構成比は再生紙57.7%、パルプ37.7%、ブレンド4.6%だった。

 ▼家庭紙向けの古紙消費量は推計で約100万トン弱。国内の古紙消費の僅か6%だ。これまで機密古紙、シュレッダー古紙、雑がみ、難処理古紙など使用する原料の幅も広げてきた。ニッチな古紙利用が得意だっただけに、微妙な変化の影響も大きい。中国の古紙輸入禁止は基本的には追い風だが、品質悪化の懸念もある。家庭紙の脱古紙化の流れは当面衰えそうになさそうだ。

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