2020年10月12日 オピニオン » 1397号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 日本からの段原紙輸出が8月に8万8000トンの過去最多を記録した。牽引役は中国だ。特に10月はクリスマス需要や独身の日を迎える秋需の影響から、10万トンを超えるとみられている。通年では80万トン前後となり、100万トンに迫る。段原紙の生産に占める輸出比率も8%となり、前年より3.1ポイントも上昇。まさに輸出頼みとなってきた。

 ▼だが、商社筋によると、この勢いも年末には一旦衰えるとの観測だ。商社は2ヵ月先に出荷される注文を受けるので、先々の需要は確実に減っているという。中国では原紙が不足する思惑もあって、段ボールメーカーの注文量が伸びていた。だが数ヵ月ほど続けば在庫も積み上がる。7月に値上げした段原紙も、ケース価格に転嫁できておらず、実需の力強さは欠くようだ。

 ▼日本の製紙メーカーにとって原紙輸出は2つの意味があった。①転抄による能力追加分を含め、コロナ禍で落ちた国内需要を補うため、②現地生産設備が稼働する前のプレセールのためだ。国内では高い原紙在庫水準が続き、輸出の流れが滞ると需給軟化から製品市況にも影響する。今後潮目となるのは、年末の海外需要減退期。もう一つは来年の東南アジアにおける王子や丸紅が現地生産へ切り替えるタイミングである。

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