【福田三商】
齋藤会長に聞く「余剰・逆有償・品質と問屋像」
S&Bの名南事業所を見学、安全パッカーを開発

名南事業所の敷地面積は 7300平米

 中国の環境規制から端を発し、日本では約20年ぶりとなる古紙余剰時代を迎えている。輸出価格は一桁価格に低迷し、国内製紙メーカーの納入量も制限される等、全国的に古紙問屋は厳しい状況が続いている。このような状況下で、福田三商㈱・齋藤会長に様々な話を伺った。以前の古紙余剰時代との取り組みや違い、逆有償回収についてや問屋としての姿勢等。また同社の基幹ヤードとも言える名南事業所が大幅なリニューアルを終えたので、見学させて貰った。

福田三商㈱・齋藤会長インタビュー

Q・ヤードの統廃合についての考えは?

 「昨年引き継いだJP資源のヤードを、現在は様々な側面から精査している段階。それ以外のヤードも含めて、4月にクローズするヤードを決定する。ヤード数は、おそらく17ヵ所プラスアルファになるだろう」

Q・逆有償の回収については?

 「以前の1990年代~2000年代初めの古紙余剰時の逆有償回収は、私が先陣を切って全国に普及させた。現在の状況では、まだ価格が安くても海外に売り先があるが、以前の余剰時は、集めたものが全く売れない時代だったので、苦肉の策で逆有償回収を始めたのがきっかけ」

 「現在、売り先はあるが、人手不足という大きな問題に直面している。これは以前の余剰時代とは全く異なる。人手不足なので、以前と同じ8時間という労働時間を遵守すると、細かい案件は断らざるを得ない」

Q・逆有償よりも人手不足の方が問題?

 「逆有償の回収でも一旦仕事を受けてしまうと、決まった頻度で引き取りに行かなければならない。しかし弊社も含めて古紙業界では人手不足が深刻になっており、結局逆有償の回収でも断らざるを得ないケースも多くなっている。それほど古紙業界では人手不足は深刻な問題である」

 「弊社は、逆有償による引き取りよりも、むしろ適切な価格による持ち込みを推奨している。また時間当たりの人件費と車両費等を算出し、逆有償における数字的な根拠として提示している」

Q・古紙の余剰問題についての考えを教えてください。

 「古紙余剰問題は、一過性の問題ではなく、長期的に対策を行っていかなければならない問題になりつつある。しかし備蓄は余剰問題の何の対策にもならない。結局、輸出するかごみにするかである」

 「以前の古紙余剰時は、古紙を積んだ問屋もかなりいたが、長時間積んでいた古紙の半分は腐ったりして、歩留まりがかなり悪くなる。結局は、古紙が余剰して積んでいる古紙がある限り、決して価格は回復しない」

 「現在は大手問屋もそのことを理解しており、積むことが無意味なことだと考えている。割り切ってタダでも良いから輸出するということを徹底して行っている」

 「古紙問屋はこれまで売り手市場だったが、これからはそうではない。そうすると、仕入れ段階での取捨選択や指導に加えて、買い入れ業者への品質指導や分別指導も行っている」

Q・余剰はいつまで続くと思いますか?

 「長期的にみると、3年~5年後には世界的に需給バランスが取れるようになるかもしれない。世界的な需給のアンバランスは、中国の輸入規制の問題が最も大きいが、生産全体では洋紙の減少が段原紙の増加を上回っていることも原因となっている。また早ければ今年の秋口には、一時的にバランスが取れるかもしれない。その理由は古紙回収量が大きく減少しているため。回収が大きく減って、段原紙需要が底堅い状況、または高まる状況になると、一時的に需給バランスが取れるかもしれない」

Q・今、古紙問屋としてできることは何ですか?

 「古紙回収量や回収率は結果に過ぎない。古紙問屋として今できることは、品質を第一に考えて優先すること。このような市況になっても基本的なスタンスは変わらない。むしろこのような状況だからこそ、品質の追求に力を入れている」

 「現在は100%選別に力を入れている。そして製紙メーカーが購入量を調整しているので、売れる量だけの仕入れを行う。売れないものは仕入れをせず、そこで調整する」

 「最も力を入れていることは、第一に品質、第二に行い。行いとは、品質を兼ねた安定供給のこと。国内製紙メーカーにも海外製紙メーカー、商社に対しても、常に真摯に対応することが行いのなかに含まれている。価格が高いから安いからといって、存外な態度を取っている問屋は、いつかしっぺ返しを食らう」

名南事業所をスクラップ&ビルド

 スクラップ&ビルドした福田三商・名南事業所を見学した。名南事業所の敷地面積は7030平米。うち建屋面積は、第一倉庫が1140平米、第二倉庫が858平米、事務所が156平米となっている。2年かけて立て替え工事を行った。現在は2つの建屋と事務所に分かれている。西側のメインとなる第一倉庫は、段ボールを中心に梱包を行い、東側の第二倉庫は、新聞・雑誌の梱包を行っている。2017年から立て替え工事を開始し、昨年5月に完成した。

 各建屋に古紙用大型ベーラーを1台ずつ、計2台設置している。設置しているベーラーは同じタイプで、昭和の120馬力の省エネベーラー。また拓己技研製の紐取り機付き選別ラインも設置している。他の設備は、50トントラックスケール、クランプリフト2台、回転フォークリフト2台。リフトは全て電動リフトを使用している。

品質への拘り

 名南事業所の古紙扱い量は月間2000トン。以前は3000トンだったので、3割ほど減少していることになる。品種別では、段ボールが1000トンで半分を占めている。他には雑誌が400トン、新聞が300トン、台紙200トン、その他が100トン。現在の在庫量は400~500トンとなっている。

 前述の齋藤会長のインタビューでも記述しているが、同社は以前から品質の向上に努めている。市況の悪化と人手不足により、選別作業にあまり人手をかけない問屋も増えている中、同社はこのような状況でこそ原点に返り、選別に力を入れなければならないと話す。具体的な品質向上としては、段ボール古紙の中から台紙類を全て選別して除去している。もちろん紙管等も入っていない。同社の段ボール古紙はほぼ全て段ボールのみの品質となっている。ちなみに除去する前は、台紙類が平均5%ほど含まれていた。

安全志向のパッカー車を開発

 同社では、パッカー車の大手メーカーである極東開発と共に、より安全志向のパッカー車の開発・研究を以前から行っている。パッカー車は元々生ごみの収集用に作られたこともあり、古紙回収用としては様々な弊害がある。例えばパッカーの排出用の操作スイッチは、これまでは運転席にしかなく、後方の安全確認が確実に出来ず、事故に繫がるケースがあった。同社ではこの事態を問題視し、パッカー車後方にリモコン式の起動スイッチを取り付けた。これにより、運転席より降りて後方に回り、排出作業を確認しながらの操作が可能となった。また同社の安全パッカーは、ホッパーへの古紙投入の際、かき込板での連続回転ができず、1回ずつ積込スイッチを押さないと回転しない。効率よりも安全を重視した結果、このような形になった。

 パッカー車の停止スイッチは、左右の両サイドと投入口下の緊急停止バーがある。しかし例えば、商業施設等のプラットフォームがある場所の積み込みでは、緊急時に緊急停止バーが下に潜っており、すぐに押すことができない。その点を改良して、上部にも緊急停止スイッチを取り付けた。上下左右、どこでも緊急停止をすることができる。

 このように安全志向の研究・開発を行っていくことで、業界全体の事故を減らしていきたいと考えている。ちなみに同社が使用しているパッカー車には、全て計量器が付いており、客先での計量が標準となっている。これは、業界にとってアバウトになりがちな計量業務の改善を図るとともに、ルート回収で数軒ずつの積み合わせが可能となる。いずれも回収先での明朗会計を目的として開発された。

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