2006年3月6日 オピニオン » 679号

コラム「虎視」 679号

コラム「虎視」

▼紙・板紙の生産大国といえば米国・カナダの北米勢である。PPW誌によると昨年発表された北米の製紙工場や抄紙機の閉鎖は年産能力で533万トンになるという。北米の04年の紙・板紙生産量が1億386万トンなので、生産量の5%に当たる。①中国の台頭によるアジア向け輸出の後退②インターネットの普及による新聞メディアの衰退ーなどが原因だ。

▼北米でこれだけの生産設備が閉鎖される一方で、中国の紙・板紙生産は昨年も二桁の高度成長をみせた。02年以来、中国の二桁成長は4年連続。中国造紙協会による昨年の生産量がまだ発表されていないが、5,700万トンを下回らないと推定される。今年は日本の2倍に当たる6,000万トンの大台に乗せることは必死だろう。早ければ2010年までに製紙大国・米国に追いつく可能性が高まってきた。世界の紙・板紙生産国で中国が1人勝ちの様相を呈してきたわけだ。

▼この中国、04年のデータでみると消費が生産を489万トンも上回っており、不足分をまだ輸入で補っている輸入国である。生産設備の増強とともに、輸入国が輸出国になるのかどうか。国内消費を上回る生産設備ができるまで、中国の紙・板紙の高度成長が続くとみたい。

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