2007年10月29日 オピニオン » 760号

コラム「虎視」 760号

コラム「虎視」

▼輸出市場が膨らんだことで、これからの国内相場は建値が壊れ(建値が指標にならない)、製紙と問屋の個別交渉による取引価格が主流になるのでないかと前号で指摘したが、では国内相場にとってなにが指標になるのかといえば、輸出価格以外にはないだろう。

▼輸出価格といってもドルベースのCIF価格ではなく、輸出経費を差し引いた問屋手取り価格が指標となろう。輸出経費は沿岸部か内陸部か、主要港に近いかそうでないか、自らコンテナ積みできるかどうかなどの条件によって大幅に違ってくる。製紙は問屋側のこうした事情を勘案しながら、きめ細かい価格を提示することになる。

▼となると将来、建値というのは下限価格になり、一方、上限価格は輸出手取りとなろう。もっとも上限価格は輸出手取りだけでなく国内他社の提示価格であったりもする。例えば輸出手取りが20円であっても、国内他社が21円を出せばそれに対抗して高い価格を提示するケースもあるからだ。ともあれ、製紙が問屋に提示する価格は千差万別になり、建値は下限価格との認識が拡がるだろう。建値が国内相場の指標となった横並びの平和な?時代が終わり、これからは建値が下限価格となる個別交渉の時代に突入した!

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