▼建値と実勢が大きく乖離していることについて、今回は製紙の立場で考えてみよう。90年代まで製紙は国内古紙が不足すれば輸入することでカバーでき、需給調整の選択肢が製紙側にあった。ところが2000年代に入ると輸入古紙が高くなり(国内価格が下がったこともある)、手がでなくなった。本格的な輸出も始まったことで、需給の選択肢が製紙から問屋側に移った。さらに輸出価格が国内を上回る輸出上位が常態になると、製紙が建値で購入できる数量は次第に限られるようになってくる。
▼その場合、輸出にスライドさせて建値を設定したのでは国内価格が一律に高くなる。国内でも沿岸部か内陸部か、主要港に近いか遠いか、あるいは自らコンテナ積みができるか否か、輸出にかかる経費がまるで違う。内陸部やローカル港ではドレージ(国内の横持ち運賃)が高いし、フレートも高い。仮にCIF200ドルで成約できても経費がトン2,000円で済むのとトン5,000円もかかるのでは手取りに影響する。一筋縄ではいかないのが輸出手取りだ。
▼こうした地域の実態に合わせた買い方となると、建値は向かない。輸出市場が膨らんだことでこれからの国内相場は建値が壊れ、製紙と問屋の個別取引が主流になるのでないか。
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