2019年11月25日 オピニオン » 1354号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 来年は一層古紙がダブつきそうだ。今年の輸出量は、1-9月から推計して300万トン前後。そのうち中国向けは180万トンほどになりそうだ。来年は中国の輸入ライセンスが半減するとみられ、90万トン減る見通し。そうすると、一部はゴミ化するとしても、自治体の焼却施設では古紙を搬入禁止とするところも多い。かなりの量が余剰し、行き場を失ってきそうだ。

 ▼余剰古紙を逃すには、①輸出先を中国以外に分散する、②段原紙など製品として輸出する、③日系の現地工場で使う、④再生パルプに加工して輸出するの4つの選択肢しかない。①で他国分散するにしても、欧米品と競合するし、規制も強化されつつある。④再生パルプは、世界的な潮流だが日本では難しい。古紙を安定的に供給できて現実的なのは②か③だろう。

 ▼自治体の回収では、栃木県那須塩原市で入札による古紙売り払い金1797万円が回収不能となっている。また川崎市のイトーヨーカドーでは、ポイント回収機を設置した業者と連絡がつかず、撤去を余儀なくされた。横浜市の集団回収では回収業者へキロ0.5円の補填を始めた。排出元の企業や自治体は、回収先の与信を見極めつつ、回収コストを補わなければリサイクルが存続できなくなってきた。

※一部誤りがあり修正させていただきました。2019年12月2日8時15分

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