2018年9月24日 オピニオン » 1296号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 国内メーカーが合理的に調達に動くのであれば、国内も海外もあまり違いはないーー。そんな認識が古紙問屋の間に広がっているのではないか。5月以降の大幅な輸出増をみるにつれ、「国内ファースト」という販売姿勢が揺らいでいるよう感ずる。海外と国内の垣根は下がり、問屋はどこが買い支えてくれるかの視点で販売先を見定めつつある。

 ▼従来、古紙問屋が輸出市況のほうが高くとも、国内メーカーに律儀に納めてきたのは、長年の信頼関係がベースにあったから。各メーカーは取引先を集めた問屋会を結成し、日ごろからのゴルフや飲食などの機会で親睦を深めてきた。問屋側も特別扱いしてもらおうと擦り寄ってきたわけだ。ところが春まで積み上がった在庫を後目に、一部メーカーによる大幅な値下げと発注の一律カットは、問屋の大きな反発を招いた。

 ▼高値が続くパルプ市況では、UKPのウェットパルプとドライパルプで50ドルもの価格差が付くという。ドライのほうが運搬効率性や保管性などに優れているからだ。果たして古紙にもウェットとドライで相違が出てくるのか。もちろん水分率のことではなく、取引の関係性の違いであるが、国内メーカーの一挙手一投足に、古紙の需給は今まで以上に敏感になっている。

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