2018年8月27日 オピニオン » 1292号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 中国政府が輸入古紙の約半分を占める米国の古紙に25%の関税を課す。中国の環境規制の強化に米中の貿易戦争が絡み合い、古紙市場はますます混迷を極める。これからの市況の見通しは、両国の政府次第ともいえようか。その上、中国からの貿易が減速し、内需にも陰りが出ているようで、パッケージ需要そのものが落ち込み始めている。

 ▼米国のOCC(段ボール古紙)が割高になるとはいえ、品質的にも繊維強度があるのでニーズは強い。中国の段ボール加工業者やユーザーの間では、破裂強度信仰が根強いといわれる。日本や欧米は圧縮強度、つまり変形しない箱を好む傾向にあるが、中国では破れないライナーが好まれる。中国の道路事情がこれまで悪かったこともこうした信仰につながってきたようだ。

 ▼大手の板紙メーカーが、米国OCCを高配合し、ニーズを汲んできたことも大きい。だが、既に中国の道路事情は改善し、米国の古紙の手当ても困難を極める中で、古紙の配合にも変化が現れてくるのか。それとも東南アジアに生産拠点を移し、代替生産の動きも活発化する中で、やはり米国OCCを高配合したライナーをつくっていくのか。通商の覇権争いは、ライナーと古紙の市場構造の変化も巻き起こしそうだ。

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