▼特集したトラブル事例とは別に、UVインキによるトラブルも増えているという。UVインキとは、印刷工程で紫外線エネルギーを受けインクを硬化させるもので、従来の油性インキに比べて、乾燥時間が大幅に短縮できることが特長だ。裁落ものを色上やケントとして洋紙メーカーや家庭紙メーカーが受け入れることが多いが、UVインキの問題は今に始まったことではない。
▼二〇〇五年の日本印刷産業連合会による報告書では、印刷物として三%程度の混入率であれば、洋紙向け製紙原料としてのリサイクル適性に問題ないことが確認されている。同連合会は、リサイクル対応型UVインキの認証制度を設け、印刷業者にその使用も推奨してきた。ところが、最近ではUVインクの粒子が硬化して沈んでしまい、脱墨過程で除去できないことが増えてきているようだ。
▼UV印刷物が増加したのは、ネット印刷通販の台頭が一因とみられる。印刷価格をオープンにし、受発注や原稿入稿もネットを介したビジネスモデルで、プリントパックなどの事業者がチラシなどの簡易印刷物向けで急成長している。短納期をウリにするため、ほとんどがUVインキ印刷だ。一旦、印刷物が消費者に渡れば、目視による油性インキとの区別も難しい。
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