
▼弊社のある奈良には「シャープ前」行きバスが走るほど馴染み深い。奈良工場では約二千名が働き、複合コピー機などを製造しているそうだ。英サッカーチームのマンチェスターUの胸スポンサーとして黄金期を支えたこともある。そんな日本の看板企業が台湾の鴻海の陣門に下った。巨額負債の元凶とされる堺工場では、廃棄物処理の実態からも経営不振の兆候が現れていた。
▼堺工場の稼働時、それぞれ得意分野をもつ産廃業者十一社が横断的な組織「トライエス」を立ち上げ、再資源化を一括受注してきた。古紙や機密処理を手掛けるのはエコノート関西に出資するJP資源だった。再資源化団地を工場内に設け、トライエスが加盟業者を機能的に管理するとともに、各業者が安価で適正処理できる対応力を結集。当時としては画期的な取り組みだったが、廃棄物の発生が激減し、二年前に解散した。
▼専業化する廃棄物処理の業界は三人よれば文殊の知恵で、知恵を絞り合い成長する必要がある。そうすれば大手の排出企業とも対等に渡り合える、というのがトライエスの趣旨だった。参加企業には海外で事業展開するところも少なくない。日本の廃棄物処理や資源化の技術をもって世界のグローバル企業と伍する、そんな挽回策に賭けてみたい。
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