▼新シルクロード構想とも呼ばれる「一帯一路」構想は、中国と欧州を陸海路で結ぶ壮大な計画だ。急ピッチで進む資金面での支援体制や沿線のインフラ整備は、過去の実績や専門性ある人材に乏しく、やがて不良債権の山を築きかねない危うさもはらむ。ただ、こうした中国主導の経済圏の拡がりは、日本の製紙プロジェクトにも影響を与え始めた。
▼今年五月に習近平主席がロシアを訪問し、首脳会談で調印した契約の一つが、シベリア近郊で年産五十万トンのパルプ工場に投資する計画だった。総投資額は約十億ドルで、二〇一九年末以降に稼働を見込む。その影で、二〇一二年に丸紅が二千八百億円で建設を受注していたパルプ工場が日の目をみることがなくなった。政府認定のアンガラペーパーが資金繰りに行き詰まり、今月、倒産する事態に追い込まれたからだ。
▼計画がすり替わったのかは定かでないものの、ともにパルプの中国向け輸出を視野に入れていた。プーチン大統領はドルに対抗する中国の意向を受け、人民元決済での対中輸出に前向きとされる。「一帯一路」構想は、同時に人民元の国際化を目論む。この沿線国から中国が古紙を輸入する比率は三〇%に留まるが、今後は決済手段に併せ輸入比率も変化していくだろう。
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