脱炭素の対応は競争力には繋がるものの、投資に対する費用対効果がみえにくい。というより、成果を実感することが難しい。そのため積極的な投資は、資金が潤沢なところが先行し、体力のないところは二の足を踏む。つまり競争優位にある企業がさらなる独壇場を築く構造となっている。
▼これは自治体の取り組みでも同じであろう。小国ほどの予算規模をもつ東京都は、カーボンニュートラル関連施策に年間2200億円規模の予算を計上。19年に「ゼロエミッション東京戦略」を策定し、21年に増補した。30年までの行動計画を定めており、重点を置くのは、①再生可能エネルギーの推進、②建物の省エネ基準の強化、③ゼロエミッション車の普及、④都市の緑化と自然保護である。
▼③ゼロエミッション車(ZEV)の普及は、公共交通機関や公用車で導入が進んでおり、ごみ収集時のパッカー車でも燃料電池を使った車両の試験利用が拡がっている。今年3月からは10市区で、1台ずつ1年半程度交代で導入し効果を検証中だ。また複数台を導入する江東区や清瀬市、東久留米市、西東京市では充電ステーションも新設。コストや車両の大きさ、充電頻度といった壁を乗り越え、ゼロエミパッカー車の普及が進むか注目したい。
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