大阪紙工所という会社が大阪市の玉造にあった。近くには紙加工の工場が数多くあったところである。昔から鶴橋・玉造・寺田町辺りは、印刷会社と紙加工会社が多い。紙加工と言っても様々だが、一般的には、ロール状の紙を様々なサイズに断裁して印刷会社向けに卸したり、押抜き・穴あけ・角落とし・ミシン・ハーフカット・トムソン・折り等の加工を行う。
▼38年ぶりに日本一に輝いた阪神タイガース・岡田監督の実家は、この大阪紙工所だった。岡田監督の父である同社の創業者は、大の阪神ファンで後援会で役員を務めており、プロ選手と多くの交流があった。その縁で岡田少年は現役選手の英才教育を受けて頭角を現し、大阪に岡田ありと言われた。ちなみに大学時代の打率・打点記録は、40年経った今でも破られていない。
▼ドラフト会議では当時、過去最多の6球団競合による抽選が行われたが、相思相愛の阪神が見事に引き当てた。この運命とも言えるくじ運が、85年の球団初の日本一を引き寄せたと言っても過言ではない。そしてあれから38年後、阪神では史上初となる選手・監督として日本一に輝いた。岡田監督の父は、阪神が初の日本一になった翌年、55歳の若さで他界。大阪紙工所は跡継ぎが不在で廃業した。
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