2022年2月14日 オピニオン » 1463号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 古紙輸出量は2012年をピークに減り続け、21年までの10年間でほぼ半減してしまった。回収量に占める輸出比率も12年の23%から21年は13%と、10ポイント下落している。90年代のどん底市況から、輸出市場の開拓が競争力をもたらしたが、その構図が崩れつつある。輸出に出す古紙がなくなってきたからだ。

 ▼税関統計による輸出総額(FOB)をみても実感する。800億~900億円近い輸出販売額があったのが、21年は563億円と18年比で268億円減。一方で段原紙の輸出額はこの間232億円増え、21年は518億円と古紙市場に肉薄している。転抄による増産で、輸出品目が古紙→段原紙へ移ったわけだが、古紙の輸出価格は国内の基準価格を上回る。日本の国内優先で流れる特異な商慣習に支えられてきたわけだ。

 ▼だが、転抄メーカー3社にとって依然、古紙調達は頭痛の種だ。3社の工場は苫小牧、新潟、三島といずれも地方工場で発生地から遠い。物流コストは重荷だ。原紙輸出するほど古紙の発生が減るジレンマにも直面する。もともと中国の輸入禁止で古紙が余る前提だったが、コロナ禍や物流混乱で想定が崩れた。世界的な古紙の逼迫感は続く見通しで、今年もОCCは250~300ドルを推移か。

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