今年から古紙の全面輸入禁止に踏み切った中国。原料不足から再生パルプや段原紙の輸入を増やすが、バージンパルプの増強計画も多数持ち上がっている。今後1400万トン超の設備が立ち上がるそうだ。チップから板紙製品まで一貫生産することは、「製造2025」で掲げる高度化という路線や、黒液のエネルギー利用から2060年に向けたカーボンニュートラルの方向性とも合致する。
▼将来的に段原紙・古紙の市場も大きく変わるのではないか。一つはパルプリッチな板紙の比率が高まっていくことだ。つまり米国のような再生品とパルプ品の段原紙が二分し、共存していくイメージである。もう一つは、古紙が余剰して輸出も起きうる可能性だ。20年の古紙利用率は55%でピーク時から18ポイントも下落。中国の製紙業界には日本のように利用率を高めていくコンセンサスはない。
▼また気がかりなのが、中国で策定中の次期5ヵ年計画(21~25年)の中で、銅や鉄鋼石などのコモディティ価格に上限を設ける方針が出された点だ。パルプや紙製品が含まれるのかは未知数だが、昨年来パルプ価格は異常なほど暴騰してきた。政府による大がかりな価格介入が商品市況にどのような影響を及ぼすのか注視が必要だろう。
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