未曾有の高値圏につけるパルプ価格。原料である木材チップ価格はさほど上がっていない。先物パルプ市場の暴騰と海上コンテナ問題が引き金であろうが、複合的な要因が絡み合っている。一方で集積回路や非鉄金属、プラスチックなどあらゆる国際商品市況が急騰中だ。各国政府が景気刺激策で投入した財政支出があらゆるバブルを生んでいる。
▼思い起こすのは、20年4月の米国原油WTI先物市場。なんとマイナス40ドルを付けた。原油1バレルを調達すると、40ドルもらえる異常な相場だ。原油が「逆有償」になってしまったわけだ。本来、実物資産の裏付けがあるはずの金融商品が無に返すところか、マイナス価値を付けた。しかし、その後の原油やガソリンといった実物相場はマイナスに振れていない。
▼特に先物市場はバブルを招きやすく、そして極端な方向に振れやすい。上海の先物市場に18年秋に上場してから2年あまりと歴史も浅い。現物のパルプ需給では、ブラジルの大手メーカー2社が18年3月に合併するなど、寡占化の流れの中で、急騰する素地が出来上がっていた。そもそもコロナ禍で世界中で印刷用紙需要が落ち込み、パルプ需要は弱含み。今後、関心はいつバブル市況が終焉するかに移っていくだろう。
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