今年5月の紙・板紙生産量は179万トンで対前年比16.6%減。そのうち紙生産量は83万トンで対前年比28.3%減。単月の紙生産量では、戦後最大の下落率となった。コロナ禍のロックダウンやそれに伴う休業、経済活動の停滞の影響で、特に洋紙全般の減少が際立った。
▼日本はかつて新聞大国で雑誌大国だった。新聞の発行部数のピークは1997年で約5400万部。雑誌の発行部数のピークは95年で約65億冊。新聞は全国紙が多くて宅配制度が確立していたこと、雑誌は豊富なマンガ雑誌や週刊誌が牽引して驚異的な発行部数を記録した。しかし現在は見る影もなくなっている。
▼コロナ禍の影響により、世界的に見てIT化が遅れている日本の課題が浮き彫りとなった。IT化を遅らせている2大要因は、ハンコとFAXと言われている。どちらも紙を必要とする文化だ。今回の非常事態宣言時でも、ハンコの押印や取引先からの書類(郵便又はFAX)の確認のために出社する人が多数見られた。安倍首相は4月下旬、紙と押印を前提とした業務慣行の見直しを指示している。ハンコは電子署名やサイン、FAXはメールや電子FAXに変わることでIT化は加速するが、同時に紙離れは更に進むだろう。
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