▼「小矢澤さんのところも大きくなりましたね」。タクシー運転手がこう呟きながら、長野駅から新本社ヤードへ走らせた。事業売却の話をふったが、地元の人には小矢澤商店のほうが馴染みがある。こうしたネームバリューや信用こそ、地場産業として問屋が築き上げた企業価値そのものだろう。新ヤードを設けて一昼夜に築けるものではない。
▼古紙問屋業を代々営んで業績を伸ばしてきたものの、古紙の発生減や中国の需給動向、ヤードの過当競争など、来たるべき未来に漠然とした不安を抱く経営者も少なくない。ましてや経営者が高齢化する中で、事業をどう引き継ぐかは切実な課題だ。たとえ子息が継いだとしても、情熱をもって業務に励む後継者もいれば、止む無く継いだというケースもあろう。
▼再編や合併の波が比較的穏やかだった古紙業界だが、相応しい経営主体に事業をバトンタッチするのも時代の流れか。これまでM&Aに至るプロセスや背景を知り得る機会も限られた。小矢澤商店がモデルケースになるかも知れない。好業績のときほど、検討する意義があることを教えてくれる。前社長の小矢澤氏は40代と若く、新たなビジネスに取り組む余力も残す。今後の人生プランは目下検討中なのだという。
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