「絶望の林業」田中淳夫著を読んだ。ちなみに田中氏は奈良県在住で、日本で唯一の森林ジャーナリストである。著者はこの本で、日本の林業における様々な課題や問題点を挙げている。章見出しを列挙すると、森も林業も知らない林業家、外材への責任転嫁、間違った間伐、遅れた機械化、事故率15倍の労働環境等。
▼日本の用途別の木材需要は、①パルプ・チップ用=43.8%、②製材用=30.8%、③合板用=12.9%。国産材と輸入材の消費比率は31:69で輸入材が多い。輸入元は①カナダ、②欧州、③米国、④ベトナム、⑤チリ、⑥オーストラリアの順。欧州やカナダ、米国の木材は針葉樹で製材用が多く、ベトナム・チリ・オーストラリアは広葉樹でパルプ・チップ用が多い。
▼バイオマス発電の項が興味深い。FITによる固定価格買取制度により、現在は燃料の95%を輸入に頼る。北米の木質ペレット、東南アジアのPKSがメイン。30年までに1000万KWのバイオマス発電の建築申請があるが、木質ペレット換算にすると年3000万トンが必要になる。ちなみに20年の世界の木質ペレット生産量が3000万トン。全て日本が独占しないと賄えない。また結果的にバイオマス発電はCO2排出量を増やしていると指摘する。
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