2018年12月3日 オピニオン » 1306号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 去る11月20日、東京で日中古紙セミナーが催された。約80名の製紙・古紙関係者を招聘し、中国の最新動向に関する講義に多くの来場者が耳を傾けた。2020年末をもって輸入古紙をゼロにする方針にも話題が及んだ。現在まで政策変更はないが、輸入ゼロとするのはあくまで廃棄物であって、古紙は廃棄物ではないと解釈できるよう中国政府に働きかけている。

▼輸入古紙ゼロが現実味を帯びるかは、①中国の国内古紙の掘り起し、②段原紙や再生パルプなどの生産拠点の海外移転、③段ボールなど製品価格の転嫁の耐性がポイントになりそうだ。国内古紙の回収は過去5年間で毎年平均7%増加。今年1~9月までの速報値でも11%伸び、500万トン近く増えている。正味の回収率は74%と高いが、内陸部で掘り起しの余地があるという。

▼大手製紙メーカーを中心に、東南アジアや欧米で段原紙や再生パルプの生産拠点を構える動きも加速している。すでに、今年の段原紙の輸入量は倍増、再生パルプ輸入量も32倍まで増えている。ただ、繊維原料そのものは限られた中で、環境コストが上がり、紙・板紙は高価格時代に突入。その結果、エンドユーザーや消費者の負担が増している。

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