
本紙の創刊間もない頃、新進気鋭の某問屋の方に怒られた、という話を両親から聞かされた。記事の内容ではない。電話応対の仕方が悪いと指摘されたのだ。携帯電話もなかった頃で、自宅の番号を兼用していた事情もあったのだが、企業の印象は電話応対で7割ぐらいは決まる。いま思えば、至言であった。
ときは流れ、学生時代に時給が1300円という高級につられ、人材派遣会社のテンプスタッフでテレアポのバイトに精を出したことがある。テレアポというのは、電話の受信と発信の2つの業務がある。その仕事は英会話の教材を売り込むため、ひたすら発信するというものだった。研修時に「スクリプト」という会話の流れをツリー状に示した台本を渡され、何度も暗唱させられた。いく通りもの会話の流れが図示され、完璧なまでの想定問答がわずか数枚の書類にまとめられていた。大手企業がもつノウハウというものを垣間見た瞬間だった。実はこのときの経験がいまの取材活動にかなり活きている。
AI(人口知能)との会話というのは、あのスクリプトにあったような会話の流れをプログラム化し、受け答えを可能にしたものだろう。この技術の卓越した点は、千差万別な音声を認識できることではないか。いまや人の声を分析することで、感情や体調、知性や体格まで把握できるといわれる。グーグルやアップルは顧客の『生の声』を集め始めているそうだ。
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