2020年12月14日 オピニオン » 1406号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 東南アジアでは、繊維が長く歩留まりが良い米国古紙がファーストチョイスで、次いで品質は低いが価格の安い欧州古紙。品質は良いが価格が高い日本古紙は、欧米品よりも次の選択肢だった。しかしベトナムやインドネシアを筆頭に、東南アジア各国でもライセンス制や事前検査の導入等、環境規制が厳しくなっている。その状況下では、日本品は欧州品を上回り、セカンドチョイスとなる。その結果が、東南アジアへの古紙輸出増だと言えるだろう。

 ▼中国の古紙輸入量は、昨年は1036万トン、今年は輸入ライセンスが全部使われると675万トンになる見込み。これが来年、一気にゼロになる衝撃は、リーマンショックやコロナショックを上回るものになる。来年も今年と同様、古紙供給国では余り、中国では足りない状況がより一層、顕著になる。

 ▼今年の中国の古紙輸入量が年間660万トンとすると、月間では55万トン。この月55万トンという莫大な量は、東南アジアやインドを含めても吸収できない。米国は東南アジア以外に中南米への輸出を強化し、英国はトルコへの輸出を増やしているが、それでも吸収できない。今後は世界的に古紙のごみ化量が増えると共に、アンバランスな需給構造が当面続くことになる。

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