2022年9月5日 オピニオン » 1490号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 ベトナムのヴィンフック省は、近年は工業化が進み、地方都市としては経済発展が著しい地域として注目されている。日本の企業ではトヨタやホンダが工場を開設し、ヴィンフック省の経済発展を後押ししている。首都ハノイから北西に85キロの距離で、車で1時間半ほどかかる。

▼ヴィンフック省で見学した古紙ヤードは、入口には看板すら出ていない。話を聞くと、会社ではなく個人商店であり、個人の名前で事業を行っているという。当然ながら税金を払っていない。ベトナムは法人税が20%、消費税が10%かかる。地元業者が税金を払わず、もぐりで営業を行うのは、以前の中国と同じだ。この古紙ヤードでは月間2200トンの古紙を扱っており、従業員は13人だった。

▼段ボールの仕入価格はキロ17.5円で、製紙メーカーへの販売価格はキロ20円。差額はキロ2.5円しかない。これでやっていけるのかと聞いたところ、全く問題ないとの返事。販売価格から仕入価格を引いた差額に扱い量を掛けると月間550万円。従業員の給与、車両費、燃料費、賃料、光熱費、その他諸経費等を差し引いても、経営者は50~80万円ほど貰っていると思われる。ベトナムの平均給与は月3~4万円なので、まさに古紙成金である。

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