▼古紙価格が高値圏で推移する見通しが強い。中国の旺盛な需要に加え、チリ地震の影響によるパルプ需給のひっ迫感も高値観測を後押ししている。国内製紙は、古紙の消費量を減らしているものの、国際価格の突き上げに直面。こうした消費減のなかで原料高となるのは初めての経験だ。08年以降、低迷する古紙消費量は昨年は1,680万トンと、10年前の1999年に近い水準まで落ち込んだ。
▼古紙は品種によっても変動があった。①洋紙向けの古紙はピークの07年より需要が100万トン近く減少。かつて国内向けで家庭紙メーカーと二分した模造・色上も、一挙に需給が緩んだ。中国メーカーによる調達も始まるが、ひっ迫要因となるのはこれからか。②新聞古紙は、発生減で国内循環が途切れつつある。製紙メーカーの発注量に満たないケースもあり、一部の新聞用紙ではパルプ配合を増やしたとされる。③白板紙などの板紙向けでは、価格差もあって段ボールから雑誌への代替が進んだ―など。
▼製紙各社がDIP設備を整え、古紙利用増に向けて一斉に走った頃とは違い、国内減産と古紙の国際価格の騰勢で、風向きは変わってきた。各社で原料調達の考え方も変わってくるのではないか。まずは4月の価格修正の動向に注目したい。
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