2020年7月13日 オピニオン » 1385号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 今後、古紙の回収インフラは機能し続けられるのか?回収業者は、主に新聞販売店回収を手掛けてきた零細業者が苦境にあるようだ。東資協など業界団体に加盟する業者は、各地域の組合委託方式で行政回収を請けており、これが大きな支えとなっている。集団回収でも業者補助の見直しが各地で広がり、数年ぶりに復活したところも少なくない。

 ▼一方、古紙問屋は自らパッカー車を導入し、ルート回収に取り組むケースが全国的に増えていた。だが、ひとたび市況が悪化し発生減に直面すると、人件費や車両代といった固定費が重くのしかかる。パッカー車1台あたりの採算ラインは月間扱い量で120トン~150トン。古紙バブル時の過大投資で採算割れの車両も目立ち、リストラや再編が急速に進みつつある。

 ▼働き方改革で残業規制がかかり、1台あたりの稼働率やドライバーの賃金は下がっていた。稼ぎたい意欲のある人は業界から去る結果にも繋がっている。今後、切り札の一つとなるのが、ドライバーの個人事業主化だ。排出先からのルート回収において、業務委託契約を結んで収集を依頼する。問屋がかつての「一人親方」を束ねるような関係性だ。処遇の保証、サービス品質を維持できるか等の課題も多いが妙策であろう。

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