中国は米国から輸入する古紙及び古紙パルプ(再生パルプ)について、3月から追加関税を免除し、0%に引き下げる。背景には新型肺炎による景気対策や食糧不足問題、中国国内における古紙回収の減少などがある。米国の古紙・古紙パルプが割安となるため、今後の中国の製紙メーカーによる原料調達の方針に影響を与えそうだ。
まず中国国務院が2月17日、古紙や紙パルプ製品12品目を含む696品目について、追加関税の免除措置を発表した。免除期間は3月2日から1年間。ただし、古紙については2021年初頭から全面輸入禁止を予定しており、実質的に年内分の適用となる。
免税枠は月ごとに割り当てられ、輸入企業が申請した後、税則委員会が認めれば追加税率がゼロになる。免税枠を超えたものについては追加関税が徴収される。またWTOに申告している一般の関税も残る。これらの品目に対し、既に徴収した過去の追加関税については還付されない。
古紙については中国が米国から輸入する際、2018年8月23日から25%の追加関税が課してきた。2019年に中国が輸入した古紙1036万トンのうち、米国品は461万トンで45%を占めた。今回の減免措置では他にクラフトライナー、白板紙、溶解パルプなどにも適用された。
さらに2月21日にも追加関税をかけている米国製品の65品目に対しても追加関税を免除すると発表した。この中に古紙パルプが含まれており、ゼロとなる。免除期間は2月28日から1年間。米国の古紙パルプは昨年6月1日から20%の追加関税が課せられてきた。
2019年に輸入した古紙パルプ92万トンのうち、米国品は16万5千トンに上り、18%を占めた。17日発表との大きな違いは、古紙パルプについては過去半年分の関税還付も受け付ける点である。
米国では、中国の大手板紙メーカーであるナインドラゴンが2021年までに年産計140万トン規模、山鷹国際ホールディングスが2021年までに年産70万トンの古紙パルプ事業を進めており、今後輸入が増えるとともに、両社が受ける恩恵も大きいとみられる。
<2月17日発表 対米関税追加免税措置>*紙パルプ抜粋 3月2日施行
| 品種 | HSコード | 品名 | 現行関税率 | 3月2日~ 軽減税率 |
| パルプ | 47020000 | 溶解用パルプ(DP) | 5% | 0.0% |
| 47032100 | 晒クラフトパルプ(BKP) | 5% | 0.0% | |
| 古紙 | 47071000 | 段ボール古紙 | 25% | 0.0% |
| 47072000 | 上物古紙 | 25% | 0.0% | |
| 47073000 | 新聞古紙 | 25% | 0.0% | |
| 47079000 | その他古紙 | 25% | 0.0% | |
| 印刷用紙 | 48101300 | コート紙 | 5% | 0.0% |
| 段ボール原紙 | 48041100 | クラフトライナー | 5% | 0.0% |
| 白板紙 | 48103200 | 塗工白板紙(CP95%超) | 5% | 0.0% |
| 紙器・ 包装需要関連 |
48115910 | プラスチックを塗布し、含浸又は被覆した紙・板紙(絶縁紙) | 5% | 0.0% |
| 48115991 | プラスチックを塗布し、含浸又は被覆した紙・板紙(ラミネート紙) | 5% | 0.0% | |
| 48115999 | プラスチックを塗布し、含浸又は被覆した紙・板紙(その他のもの) | 5% | 0.0% |
<2月21日発表 対米関税追加免税措置>*紙パルプ抜粋 2月28日施行
| 品種 | HSコード | 品名 | 現行関税率 | 2月28日~ 税率 |
| パルプ | 47032100 | 晒クラフトパルプ(その他のBKP) | 5% | 0.0% |
| 47062000 | 古紙パルプ | 25% | 0.0% |
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