2022年4月25日 オピニオン » 1473号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 2020年末で中国向け輸出が完全にストップし、需給状況が心配されたが杞憂に終わった。これまで多い時では、古紙輸出量の85%が中国向けという時代もあった。しかし中国の古紙輸入市場が完全に閉鎖した中で、日本の古紙は各アジア向けに継続して輸出ができており、本当の意味でグローバル商品になったと言えるだろう。

 ▼世界的にネット通販は更に拡大を見せており、世界の段原紙生産量と段ボール古紙需要は右肩上がりが続き、古紙需給は今後もひっ迫した状況が続くと予想される。実際、日本の段ボール古紙の輸出価格は、昨年5月から今年4月まで12ヵ月連続でキロ20円台を維持している。これは過去最長の輸出20円相場。最も回収量が多い段ボール古紙(シェア59%)の輸出価格が高値安定することで、全体的な国内向け実勢価格の上昇に繋がる。少なくても逆プレミアム価格は出ない。

 ▼ところが1~2面で掲載のように、回収業者は非常に苦しい経営状況となっており、東京23区では21区に集団回収の業者助成金を拠出している。5年前に拠出している区はわずか3区だったので、劇的な変化だ。メーカーが過去最高の売上・利益を出す一方で、窮状にあえぐ回収業者がいることを忘れてはいけない。

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