2008年10月27日 オピニオン » 809号

コラム「虎視」 809号

コラム「虎視」

▼3期から4期連続で減益決算に陥っていた製紙上場大手だったが、09年3月期は増益に転じる見通しにある。原燃料価格の高騰が一服したうえ、紙・板紙製品の価格修正(値上げ)が進展したからだ。またコスト増の大きな要因となっていた原燃料価格の高騰は一服にとどまらず、ここにきて大きく値下がりしてきている。別項のように段ボール古紙の輸出価格が急落したことで、板紙は国内建値を下げるチャンスが巡ってきた。また為替もドル安円高に推移しているので、パルプ、チップなど海外に原料を依存している洋紙にとっても有利な局面になった。

▼唯一の不安要因は製品在庫の多さだろう。今年8月末のメーカー在庫は板紙はまずまずだが、洋紙は150万トンを超えている。過去15年間をみてもこれは最高の水準にある。このため二大製紙大手は大幅な減産に乗り出し、洋紙の市況維持に必死だ。それと再値上げ交渉に入っている新聞用紙の値上げの行方だろう。4月に28年ぶりにキロ5円値上がりしたが、今回は約15円という大幅アップ。今回の値上げが浸透するようだと洋紙の業績回復は本物になる。つまりV字型の回復も期待できるが、①一般洋紙の市況を維持できるか②新聞用紙の再値上げが浸透するかーだろう。

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