2025年10月6日 オピニオン » 1642号

コラム「虎視」

コラム「虎視」

 製紙業界では周期的にバイオマスボイラーの建設ラッシュが起きている。2000年代はエネルギー転換やコスト削減を主眼に、木くずやRPF、スラッジなどの組み合わせた新設が目立った。一方、2010年代のFIT(固定価格買取制度)創設後は、売電収入を見込んだ投資事業の側面が強まり、燃料も木質チップ主体へとシフトしたが、その価格高騰が逆風となった。

▼2020年代は、カーボン・ニュートラルに向けた環境投資の色合いが強まった。脱炭素の流れにより、グリーン・エネルギーを活用し、製品づくりに付加価値をもたらす時代へ移行している。そして26年度からは、GX-ETS(排出権取引制度)の第2フェーズとして、キャップ&トレード枠の導入による本格的な排出権取引も始まる。

▼すでに製紙メーカーはGXリーグに参画し、排出量目標に沿った削減を推進。一定の余剰枠が生まれる見通しだ。自社の直接排出であるScope1においてRPFなどの廃棄物系燃料を使用する場合、CO₂排出量を控除できる。これを翌年度に繰り越したり、他社に売却することも可能となる。その経済価値は需給によって変動するが、環境対応がいよいよ各社の競争力に直結する局面を迎えている。

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