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古紙ジャーナル バックナンバー

【古紙業界歴史物語】
300年続いた老舗問屋、川善とその時代

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2018年1月8日 1261号

川善代々の当主と主な出来事

 老舗の古紙問屋を調べてみると、必ず行き当たるのが川善(かわぜん)である。年長の方や団塊世代の経営者には馴染み深い名前であろう。2000年以降に古紙業界に入った方は、初めて聞く名かも知れない。川善は一時は国内最大手の古紙問屋として名を馳せ、始祖を辿れば十代に渡って300年以上も続いた業界を代表する老舗問屋だった。川善から派生した古紙問屋も多く、大和運輸(現・ヤマトホールディングス)を生んだ家系としても知られる。だが古紙業界が成熟する中で徐々に力を失い、表舞台から忽然と消えている。最古参ともいわれる古紙問屋がなぜ潰えたのか?新春特別企画として、川善廃業の謎に迫りたい。(本文は敬称略)

未だ開かぬ蕾(つぼみ)

 ここにB5版を横長に使った小冊子がある。梅の花の紋章をあしらった表紙をめくると、「蕾(つぼみ)会・誕生」とある。九ページに渡り、川善家の発祥と由来とつぼみ会の会員名簿が記されたものだ。その始祖は1684年の初代・川口屋善兵衛が商売を志して安房国君津郡上総(現・千葉県君津町)を離郷。美濃国恵那郡月吉村(現・岐阜県瑞浪市)に移り、農民として紙の原料である「みつまた・こうぞ」を伐採しながら紙漉きを学び、それを生業としたのが始まりだという。川善が江戸時代から300年以上続く老舗といわれた所以である。

 「つぼみ会」は昭和40年代、初代の子孫ら200名ばかりの親類縁者が融和を図るために2年に一度集い交流を深めた会であった。二代目会長を務めたのが大和運輸の創業者、小倉康臣だった。「つぼみ会」の名称は、家紋の梅にちなみ「未だ開かぬ蕾」という意味が込められたという。この小冊子が刷られたのは昭和49年(1974)5月。梅は接ぎ木しながら、毎春花を咲かせ、寿命の長い樹木とも知られる。つぼみ会で顔を合わせた面々は、日本の高度成長期につぼみどころか見事なまでに事業を開花させた一族だったのである。

江戸で将軍家に出入り

 時は享保元年(1716年)。二代目・善兵衛が本格的な紙の抄造と販売を始めた。次の三代目・善兵衛が天明2年(1782)に江戸幕府へ入府を決意。長谷川町(現中央区・日本橋堀留町)に店舗を構えた。小間物商として紙類やその他のものを扱い、将軍家に納入した。十代将軍徳川家治の時世である。後に幕府から不用品の払い下げ品を購入する仕事も手掛けた。

 事業は好調で四代目で店舗を坂本一丁目に移した。そして五代目は水運の利がある八丁堀新銀町に転居した。この頃、古物や古紙を扱う問屋として発展を遂げ繁栄を続けた。六代目も夫婦協力して家業に専念したが長男が夭逝した後、子宝に恵まれず、兄の長男・善太郎を養子に迎えた。

川善を設立し小倉姓に

 川善の基礎を打ち立てたのが、七代目・川口屋善助を襲名した善太郎である。時代は明治に入り、戸籍法が発令されたのに伴い、屋号の「川口屋」を「川善」と改め、小倉家を創立したのだった。事業拡張の中で明治17年(1884)に店舗も現在の銀座東2丁目である木挽町に移した。

 この明治時代が、日本の製紙産業にとっても転換期だった。大正時代以前は和紙が主流だったが、少しずつ洋紙の輸入が増えていた。そして明治維新後には西洋から製紙技術も流入する。明治7年(1874)に、東京・日本橋蠣殻町で創業した「有恒社」が日本で初めての抄紙機を稼動。初の洋紙が抄かれた。続いて渋沢栄一が主導する「抄紙会社」を王子に設立した。イギリス製の抄紙機を入れ、明治8年(1875)に創業を開始。明治26年(1893)に王子製紙に社名を変更した。次第に洋紙の消費量が増え、古紙のリサイクルも和紙から洋紙へ変わっていったのである。

 明治以前の古紙問屋の仕事は主に和紙屑を集めることだった。それを紙抄き所や紙染め所に持込み、2銭ほどで売っていた。和紙は10ミリ以上の長い植物繊維でできていて、しかも添加物が含まれないので、抄き返しが容易だった。紙抄き所では各種の和紙屑を集めて再生紙に抄き返していたのである。

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