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古紙ジャーナル バックナンバー

【今年の古紙市況の行方を考える】
関東商組の段ボール輸出手取りが最高値更新
原料コスト上昇で、建値改定や再編の可能性は?!

段ボール古紙・段原紙の市況動向の比較

 今年は段ボール古紙の輸出価格が三十円に達する?!二〇一七年のトンデモ予測の一つとして挙げてみたい。昨年末より中国の調達価格が急騰しており、今年一月の日本からの段ボール輸出手取り価格は過去最高を更新した。保守的にみても、今年のドル価は二〇〇~二三〇ドル、為替相場は一ドル百十五~百二十円で推移するとすれば、輸出手取りはキロ二十~二十五円を付ける。米の利上げや古紙需給の逼迫によって、瞬間的にドル価が二五〇ドル、為替が一三〇円/ドルの水準に届けば、三十円という手取り単価も的外れではない。二〇〇八年の高騰期と比較しつつ、今後の方向性を探ってみたい。

 日本の輸出価格の指標となっている関東商組の輸出見積り価格。この段ボール古紙の問屋手取り(キロあたり)が、昨年十二月に二十三円を超えたのは、二〇〇八年三月以来初めて。今月積みは二十四円台に乗り過去最高値を記録した。〇八年当時は、むしろ新聞古紙の価格が勢いづき、その後、段ボール古紙の輸出価格は二十円前後で推移した。このとき、段ボール古紙の国内の建値は十八円と、輸出価格に合わせ上昇していた。仕入れも十一円と抑え気味だったのが、同年四月以降、十三~十五円に値上りしている。ライナーや中芯原紙といった製品価格も十月にキロあたり十円の価格転嫁が進んだ。
 こうした二〇〇八年のような、建値の上昇や製品値上げといった流れを、今年も踏襲することになるのか。今年も段ボール原紙の堅調な需要が予想されているとはいえ、製紙メーカーは原料コストの上昇に直面していくことになる。昨年末からの古紙価格の急騰は、ドル価の急上昇と円安の進展という二つの側面があり、これが短期的に収束するのか長期化するのかが、焦点となるだろう。

段原紙需要伸び、古紙価格も強含みか

 まずはドル価について、検証してみたい。中国発のバブル相場とも伝わり、この市況に持続性があるのかどうか。過去の段ボール古紙のドル価推移をみると、二〇一二年~二〇一五年はダウントレンドで、二〇一六年後半よりアップトレンドに転調した。このV字転向のきっかけは、昨年来、中国の人民元安によるインフレで、原燃料価格が全般的に上昇したことが挙げられる。古紙の暴騰相場にも映ったが、石炭や他の資源物の取引価格でも上昇基調が高まっていたのである。これを受け、昨年十一月に段ボール原紙は、二割超も値上りした。「中国の製紙メーカーにとっては、製品値上げを実施できた、またとない機会。多少古紙が高くても構わない。この相場は簡単には崩れないのではないか」とみる日本の製紙メーカー関係者の声もある。
最大の古紙消費国である中国のこうした製品市況や需要の動向を勘案しても、今年の古紙需要は強含みで推移し、概ね二〇〇~二三〇ドルの範囲で推移するとみたい。

どこまで円安を許容?

 また対ドルの為替相場は、基本的に「円安ドル高」の傾向が続くだろう。足元の為替は一ドル=一一四円前後と、トランプ氏の大統領就任前で不安定な動きをみせている。ただ、今後も日本は低金利路線を歩むとともに、米国はFRBが今年中に三回の利上げを予想していることからも、両国の金利差は開き、「円安ドル高」相場が進展するものとみられる。
今年の為替は一一五~一二五円/ドルを中心に推移するとみて、保護主義を標榜するトランプ政権がどこまで許容するかもカギとなる。既にドル=ユーロ相場のドル高が限界値に近いという声もあり、トランプ氏の口先介入(Twitterによる指先介入?)で、攪乱される可能性もある。

プレミアム幅も上昇

 今年の段ボール古紙の輸出価格はドル価(トンあたり)で二〇〇~二三〇ドル、また為替は一一五~一二〇円/ドルの水準で推移するとすれば、古紙問屋の手取り価格(キロあたり)は、二十~二十五円の範囲で変動しそうだ。ただ、輸出単価の高騰で仕入れ価格の突き上げにも直面し、問屋側にとって段ボールの輸出価格は、十五~二十円のほうが望ましいとの話もある。
輸出価格と国内建値の内外価格差が、キロあたり五~十円も開く時期が長引けば、建値修正も視野に入るだろう。だが、現状、製紙メーカーと問屋の需給両者ともに、建値の改訂は避けたいもよう。「建値+プレミアム(上乗せ)」の調達方式のほうが、メーカーは建値上げより調達コストが抑えられ、問屋も仕入れ価格の上昇を部分的に抑えることができるからだ。
 建値引き上げは、取引価格を一律でベースアップさせるインパクトをもたらす。二〇一四年五月以来、建値改定は行われておらず、もはや建値は最低価格の位置づけで、実勢価格は完全に潜った。需給の状況に応じて、メーカーと問屋が個別交渉する形が定着している。では「建値+プレミアム」でみたとき、問屋の平均販売価格はどのくらいか。輸出比率の高いエリアや納入量の多い問屋には、一部で輸出価格並みの売値も付くが、平均的にみれば、国内建値と輸出価格の中間値に近いのではないか。昨年前半、段ボール古紙では十六~十七円、つまりプレミアムが一~二円が中心値、後半は十八~十九円、プレミアム幅が三~四円が中心だったのではないか。後半は限りなく二十円に近づいたといえる。
 この「建値+プレミアム」方式では、輸出比率の高いエリアと低いエリア、また納入量に差がある大手問屋と中小問屋でプレミアム格差も拡がる。古紙問屋のグループ化や集約化を促す作用もあるが、独立独歩を志向する問屋には逆風になる。協調を重んじ業界の発展を是としてきた関連業界団体からも、建値上げの要請が出ておらず、組合の役割としても岐路に立たされているのではないか。

製品値上げの可能性は?

 古紙市況は高値基調が続きそうなことから、今後、二つの方向性が予想される。一つは、製品への価格転嫁を見据えた、建値の上方修正だ。だが、現状の製品価格をみれば弱含み。日経市況で、Cライナーが五十九~六十一円/キロ、中芯原紙が五十三~五十五円/キロ。中芯の実勢価格は十円ほど安いともいわれる。すでに古紙の調達価格が二十円近くまで迫り、中芯メーカーの中には採算割れするところも出てきた。仮に、この古紙価格帯が持続し、コスト高が改善しないようであれば、製品価格の値上げも死活問題となる。米国や中国では、既に段原紙の製品値上げが浸透しており、日本だけ製品価格が軟化傾向にある。
 段原紙のメーカー在庫は十二月末に四十四万四千トンと、前月より約五万トン減らしたものの、依然高水準にある。またこれまで率先して値上げを断行してきた大手メーカーも、今回は二の足を踏む。口火を切って値上げしたメーカーはシェアを失う宿命にあるからだ。日本製紙と特種東海製紙による段原紙事業の提携もあり、需要増の流れの中で、シェア重視の風潮が広がっている。

価格統制力を高める再編機運も

 またもう一つは、段原紙メーカー再編の引き金になる可能性だ。日本の段ボール原紙市場は、年間約九百万トンの生産量で、約五千億円の市場規模がある。大手三社で六五%(日本製紙と特種東海を一体とみなす)のシェアを占めるが、二十社超が凌ぎを削っている。一方、北米市場は大手三社で六三%を占め、メーカー数は三十社前後であるが、市場規模は四倍近い。二〇一五年一月に第二位のロックテンとMWVが合併して、ウエストロックが誕生し一段と集約化が進んだ。
 日本の段原紙メーカーの営業利益率が三~五%で、低下傾向にあるのに対し、北米の段原紙メーカーは五~一〇%前後で推移し上昇傾向にある。北米では、大手の寡占化が進むだけでなく、中堅企業も果敢にM&Aを仕掛け、再編・集約を進めることで、価格統制力を保ってきた。昨年十月にも段原紙価格を五十ドル/トン値上げしている。
 北米にみるように、再編の進展と収益性の確保は裏表一体であり、日本は約二百万トンある余剰設備能力を削り、いかに集中生産を行っていくかが課題である。昨年二月にレンゴーが先陣を切って、生産体制の再編計画を発表した。老朽化した工場を閉鎖し、競争力のある他工場に生産移管するなど「あるべき姿」を示した格好だが、他段原紙メーカーの追随する動きはまだみられない。
 グローバル製紙メーカーにおける時価総額の順位をみると、事業構造を果敢に転換させたSCAやIPが上位に付ける。王子HDは生産量では六位だが時価総額では十位、日本製紙は生産量では十位だが、時価総額では十七位。生産量の大きさの割りに、日本のメーカーの時価総額は見劣りしている。グローバル競争で勝ち残っていくためにも、柔軟な価格政策や集約再編といった取組みは待ったなしといえそうだ。

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2017年1月2日 1211号 【中国の古紙バブルの背景を探る】中国で古紙価格が暴騰…なぜ?!

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