04年から07年に14基のバイオマスボイラー
RPFなど廃棄物燃料186万トンを使用へ
03年までの廃棄物燃料使用量は50万トン
5年後は5倍の250万トンに膨らむ
カテゴリー:古紙ジャーナル バックナンバー
2006年1月9日 671号

前号で一部既報したように、製紙工場に2004年から2007年にかけて設置される(すでに設置され、稼働しているものを含む)バイオマスボイラーは14基。この14基のボイラーが燃料として利用する廃棄物、つまりRPF(固形燃料)、木屑、PS(ペーパースラッジ)、廃タイヤの合計使用量は年間186万トンにも達する。
日本製紙連合会の作成したデータによると、03年までに製紙工場が利用した廃棄物はRPFだけで22万トン。この他、バーク(樹皮)、廃プラ、PSが30万トン前後。合わせると約50万トンになり、これに186万トンをプラスすると236万トン。さらに別表以外の新増設もあるので、08年頃には年間250万トン前後の廃棄物がボイラーの燃料として使用されていることになるだろう。
表にない新増設も
本紙660号で報道したように、別表には記載されていないが、王子製紙・春日井工場が07年8月(試運転)予定で新ボイラーを増設中。2基をスクラップして1基の新ボイラーを建設する、スクラップ&ビルド方式。
現在は月間で木屑5,000トン、RPF1,500トン~1,600トン、廃タイヤチップ1,000トンを燃料として使用しているが、新ボイラーが本格稼働するとこれらの使用量が倍増する。すなわち同工場だけでも、廃棄物の年間使用量が9万トンから18万トンに増えるわけだ。
エネルギー構成、03年までは大きく変わらず
03年の製紙産業のエネルギーの構成は、二面の表のようになっている。回収黒液と廃材による自給エネルギーが33.7%。残りの66.3%が重油、石炭、購入電力などの化石燃料を中心とする購入エネルギーである。回収黒液とはパルプ材(チップ)からKPなどの化学パルプを生産する工程で発生し、回収される蒸解薬液のこと。製紙産業ではかねてこれを濃縮しボイラーの燃料として利用してきた。
さらにもっと古いデータをみてみよう。92年の製紙産業の購入エネルギーと自家エネルギーの比率は65:35。90年代から2000年代の初めにかけてエネルギー構成は基本的に大きくは変化していないことがわかる。
08年までに大きく変わるか
これまで購入エネルギーの大半が化石燃料であった。しかし、これらが廃棄物燃料に代替される動きが現在、加速してきているので、これからの10年後は購入エネルギーの構成が大きく変化しているだろう。前述したように03年までの廃棄物燃料の使用量が年間わずか50万トン。5年後の08年は250万トン前後に膨れあがっていることが予想される。
東海パルプ・島田工場、木屑に続いてRPF製造工場も建設
04年に6社6基、05年に3社3基のバイオマスボイラーが設置された。05年の3基は王子製紙・米子工場、大王製紙・三島工場、東海パルプ・島田工場の3工場に導入された。東海パルプ・島田は10号ボイラーで廃棄物(木屑が中心)を利用。木屑の破砕工場も工場内に持つ。
11号新ボイラーが年末に完成し、木屑だけでなくRPFも使用するが、RPF製造設備も工場内に建設した。木屑やRPFを購入するだけでなく、製紙会社が自ら作ろうというわけだ。これは島田工場が廃棄物の処分業の許可を取得しているから可能となった。
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