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古紙ジャーナル バックナンバー

【農水省・西野氏の基調講演から】
改正容リ法、費用の8割を占めるプラ問題に尽きる
再商品化手法としてサーマルリサイクルの導入が必要
紙の再商品化費用、大半が協会の運営費に

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2006年6月5日 691号

容器包装リサイクル法の改正案が衆議院を通り、今国会で可決される見通しにある。
①集まらない紙製容器を法の対象から外せないのか
②再商品化費用の大半がプラ容器に支払われているが、サーマル手法を採用して改善できないのか
③有償になったPETボトルを引き続き集めるのか
④自治体の分別収集費用を誰が負担するのか
ーなど、大きな問題点を抱えたまま改正案が成立する。こうした折、大阪で開催された「集めて使うリサイクルセミナー」で、農林水産省の総合食料局食品環境対策室室長・西野豊秀氏の基調講演を聴く機会があった。法施行から見直しに至る経過を分かりやすく説明してくれたので、紹介したい。

ちなみに容器包装リサイクル法の所管官庁は、環境省、経済産業省、財務省、厚生労働省及び農林水産省の5省である。集めて使うリサイクルセミナーを開催したのは、特定非営利活動法人「集めて使うリサイクル協会」。基調講演のあと、惣宇利紀男・ごみゼロネット大阪代表(大阪市立大学大学院教授)をコーディネーターにしたシンポジウムがあり、本紙もパネラーとして参加した。この内容は次回にでも触れたい。

140億円の半分が市町村に返る

問題点の④については、一部の費用が市町村に回るようになる。例えば昨年度、特定事業者(容器包装製造者や利用者など)が日本容器包装リサイクル協会に支払った委託費は670億円。見込みで払っているのでこの費用のうち140億円ぐらいが余る。これを市町村と事業者に折半して返すというのが今回の改正案の骨子だ。

半分を市町村に返すといっても、集めたものを分別基準適合物としてきちんと出しているかどうかを判断基準になる。汚れたものが入っていてもこれまではなあなあで協会が引き取っていた。例えば注射針や包丁のような容器とまるで関係のないものが入っているケースもあった。こうしたものをきちんと分別して、適合物として出している市町村に費用を返すことになる。

ごみ収集コストに開き

法施行後の市町村の分別収集の費用負担は380億円といわれる。これを事業者に全額負担させるという意見もあったが、市町村のごみ収集コストがあいまいだった。高いところと低いところでは一万倍の差があった。ここのところの詰め(論理構成)ができなかったことで、費用の事業者全額負担まで踏み込めなかった。以下は西野氏の基調講演の要旨である。

埋め立て地の延命が最大の課題だった

私のところ(農林水産省)は容リ法だけでなく食品リサイクル法というのもやっていまして、いま非常にばたばたしている。容リ法の改正法案は5月25日に衆議院の本会議を通りました。政・省令にすべての内容(改正の)が入っていまして、参考資料として添付していますが、法律をみただけではなかなか分からない。

実は私、容リ法を作る時の担当の課長補佐でした。それから10年が経ち、今回見直しのため国会で審議されているわけです。この法律が平成7年にできたわけですが、当時はどういう環境にあったかというと、市町村の最終処分場である埋め立て地の残余年数がなく、いかに延命するかが最大の問題だった。

当時は抵抗勢力

そのために事業者にリサイクルしてもらって、最終処分場に投入されるものを少なくしようということで始まりました。当時の農水省はいまでいう抵抗勢力でした。私は内心賛成でしたが、うえが反対というものですから反対せざるをえなかった。しかし、時代はやはりリサイクル社会に移行せざるをえないという背景があったと思います。

紙はむちゃくちゃに余っていた

法律を作っていろんなものをリサイクルしていったわけだけど、その間、社会的また経済的にリサイクルのやり方が変わったりしてリサイクルが難しくなったものもある。例えば紙。今日のセミナーには紙の関係者が多いとのことですが、容リ法が立ち上がった時、紙はむちゃくちゃ余っていて、価格も非常安い、もっていくところがないという状況でした。

紙は逆有償で、新聞紙すら回収されない。新聞社の方でよくリサイクルは大事とおっしゃるが、じゃ新聞紙はどうですかというと俺たちは引き取っているという。しかし中には放置されているものもあったと記憶しています。そのうち中国の経済発展にともなって古紙の輸出が増え、価格も回復していった。

リサイクルビジネスは浮沈が激しい

PETボトルは容リ法が契機になって、集まるようになった。それまではリサイクルがゼロに近い状態で、当時は大阪の根来産業さんが熱心にやっているぐらいで、ほとんどの人はやっていなかった。その後、飲料メーカーとPETボトルメーカーでリサイクル工場を作るなど、どんどんやっていったわけだけど、それが最近になってPETボトルのリサイクル業者にものが集まらないで大騒ぎになっている。

西日本ペットボトルを筆頭に「輸出を止めさせろ、国内業者に支援をしろ」とかいろいろおっしゃているわけですが、リサイクルビジネスは状況によって浮沈が激しい。こういう問題も一方にあるということは我々も理解していたが、行政としては打つ手がない。経済産業省が頑張ってPETボトルの輸出量を把握したぐらいで、日本から出さないというところまでは至っていない。

紙の再商品化費用、大半は協会の経費に

お配りした資料の分別収集の推移をみますと、紙製容器は集まっていない。紙は市町村が集めて、古紙原料として販売している量が結構あるので、容リ協にくるものが少ないこともあります。再商品化の費用をみると、紙は9億円とある。これは17年度の予算で、決算としては16年度の8億円です。8億円のうち実際の費用は2億円ぐらいしかかっていない。残りは協会の事務費用に消えている。

だから今回の法律の見直しの時も、自分達でセーフティネットを作るから紙は対象から外してくれと要望が大変に強かった。ただ前述しましたように、法律ができた時は紙は余っていて逆有償でした。もうしばらく様子をみない限り、外せないということで引き続き対象になった。

容リ法による再商品化(リサイクル)の現状

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