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古紙ジャーナル バックナンバー

【徳島県上勝町】
日本初のゼロウェイスト宣言で内外から注目
徹底した分別でリサイクル率は70%を超える
NPO法人を設立し、日本各地で普及活動

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2006年11月13日 713号

ゼロウェイストに取り組む上勝町の日比ヶ谷ゴミステーション

前々号で報じた徳島県上勝町の分別収集状況とゼロウェイスト政策を取材しに現地を訪れた。上勝町では34種類の分別収集が行なわれている。2001年、上勝町の焼却炉が稼働停止した際に、新たな焼却炉を作るよりもいっそゴミを減らそうと34分別が始まった。

この年から焼却されるゴミは急激に減り、現在では70%を超えるリサイクル率を挙げて国内外から高い評価を受けている。2003年、日本の自治体として初めてゼロウェイスト宣言を行い、2020年までに、ゴミの再利用、再資源化を促進し、焼却・埋め立て処分をなくすという高い目標を掲げた。

ゼロウェイストへの歴史

上勝町のゼロウェイストへの歴史を振り返る。1995年に電動生ごみ処理機とコンポストを各家庭が1万円の負担+自治体の補助金により全家庭に設置。97年に小型焼却炉を2基導入したが、01年に小型焼却炉がダイオキシン制限法の基準により使用停止になった。危機感を持った自治体は同年から35品目のごみ分別を始め(現在は34品目)、収集車での回収をやめて全て日比ヶ谷ステーションへの持ち込み方式になった。これによりリサイクル率は00年の56%から01年の76%へ大幅にアップした。

焼却にかかるごみの総量は15万115キロから6万8,210キロまで減少した。04年の上勝町での1人当たり1日のゴミ総排出量は452グラム、全国平均は1,086グラムと約4分の1の量。昨年のリサイクル率は72%、全国平均は17.6%。人口10万人未満の市町村で、リサイクル率は全国で第3位。34分別収集によって、リサイクル率の向上とゴミを減らす事が相乗して成功したのが分かる。

上勝町は徳島市から車で40分。人口は2,074人で年々人口が減少している。高齢化率は48%でほぼ2人に1人は60歳以上。町内に高校がないことや仕事を求めて若者が町外に流出するので人口が減り高齢化が進んでいる。ステーションまでごみを持って来れない高齢者の家には職員が2ヶ月に1回、軽トラックでごみを引き取りに行く。 産業は林業や農業が盛んで、みかんや椎茸やスダチが特産物。最近ではいろどりと呼ばれる、料亭などで使われる高級草花産業が盛んである。

コンテナが並ぶ日比ヶ谷ステーション

日比ヶ谷ステーションを訪れるとずらっと並べられた分別用のコンテナに目を奪われる。ごみ収集を行っていないので、住民が車に大まかに分別したごみ袋を積んでステーションを訪れる。そこでごみ袋を降ろし、さらに細かく分別してコンテナに入れていく。午前7時半から午後2時まで開いていて5人の従業員がシフト制で働いており、正月以外は無休。

34品目のうちリサイクルされているのは27品目。これには生ごみの各家庭での堆肥化も含まれている。処理料金がかかるものは廃タイヤ・廃バッテリーが1kg毎に100円、テレビ・エアコン等は家電リサイクル法による処理料金がかかる。

34品目を大別すると、缶類、びん類、古紙類、プラ類、繊維類、蛍光管類、粗大ごみ類、生ごみ類とその他類に分けられる。他に「どうしても燃やさなければならない物」という項目があり、靴やカバンやバケツが含まれる。これらの分類された物を10数社が引き取りにくる。毎週引き取りにくる品目もあれば、4年に1回しか引き取りに来ない品目もある。

ナルト紙料が引き取り

古紙類は全てナルト紙料が月1~2回、引き取りに来ている。年間の数量は新聞46トン、雑誌46トン、段ボール29トン、牛乳パック1トンである。他にシュレッドされた古紙や割り箸、トイレットペーパーの芯やラップ類の芯も分別されている。最終的に紙パックは大王製紙でトイレットペーパーに、割り箸は木材チップになり王子製紙で紙原料やボイラー燃料に使用されている。古紙の梱包は指定の紙ひもの使用が義務付けられていて、200円で販売している。

各地に拡がるゼロウェイスト運動

03年に、上勝町はゼロウェイスト宣言を日本の自治体として始めて行った。2020年までにゴミの再利用、再資源化を促進し、焼却・埋め立て処分をなくすという高い目標を掲げた。ゼロウェイストという考え方の最も特徴的な部分は、具体的な目標年数と取組みを発表している点だろう。ゴミの埋め立て処分の多い欧米諸国では、焼却処分に頼る日本よりゼロウェイストが普及している。九六年にオーストラリアのキャンベラが始めて宣言し、現在ではアメリカ・カリフォルニア州のサンフランシスコやバークレー、ニュージーランドの多数の都市が行い、一定の成果を挙げている。

日本では東京都町田市がゼロウェイストを検討している。すでにゼロウェイスト準備委員会が設立され、ごみゼロへの可能性を模索しながら頻繁に会合を重ねている。昨年、廃プラスチックリサイクル施設の建設計画が市民の反対運動で立ち消えになったが、少なからず関係しているかもしれない。人口40万人を超える町田市がゼロウェイスト宣言をすれば、日本では画期的なリサイクル先進都市として注目を浴びるだろう。

NPO法人を設立

05年4月、上勝町にNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーが設立した。ゼロ・ウェイスト活動を国内外に広めていく試みで創設され、東京都町田市や徳島県佐那河内村、全国各地で講演会や、ゼロ・ウェイストスクールの合宿開催などの普及活動を行っている。日々ヶ谷ゴミステーションに隣接する予防介護センターひだまりが活動の拠点。

ここでゴミステーションの管理・運営とともに、使えそうなものを無料で提供する「くるくるショップ」も併設されている。高齢者が不要になった布や布団の綿を裁縫し直し、クッションや衣類を再生している。このように住民が積極的に参加することによって、ごみが再生品に生まれ変わると共にリサイクル意識も高まっている。

高い成果を挙げた上勝町のゴミ問題の取り組み運動は、各種メディアから取り上げられ全国に拡がろうとしている。今後の問題点は、リサイクル率が頭打ち、リサイクルすれば良いという発想は結局ゴミを減らさない、事実上処分と大差がないリサイクルが多い、大都市でいかにゴミを減らせることができるか、焼却よりもコストがかかる等。全世界の3分の2の焼却施設が集中する日本は、これまでのゴミ問題を全て焼却で済ませてきた。上勝町のゼロウェイストが今後の日本のゴミ問題に大きな影響を与えるのは間違いない。

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