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古紙ジャーナル バックナンバー

【学校牛乳紙パック】
飛鳥小学校(奈良市)のリサイクル現場を見学
昨年4月から児童による洗浄回収を開始
学校の7割が牛乳容器に紙パックを使用

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2006年12月4日 716号

飲み終わった牛乳パックを各自で洗う

奈良市内にある飛鳥小学校を訪問し、学校給食用紙パックのリサイクル状況を取材させてもらった。近年、学校給食用牛乳の容器がビンから紙パックに変わってきており、全国で給食のある学校の7割が紙パックを利用しているという。この学乳紙パックの回収率が03年50%、04年の65%と大きく伸びてきている。

紙パック全体の回収率が産業損紙を含めて36%、使用済み紙パック(家庭から排出されるもの)だけでみると25%と低い水準にとどまるなかで、学乳紙パックの回収率は突出している。これは環境教育の一環として給食用紙パック牛乳のリサイクルに取り組む学校が全国的に多いからとみられている。

昨年4月から紙パックをリサイクル

飛鳥小学校では昨年の4月から学校給食の牛乳容器がビンから紙パックに切り替わり、同時に紙パックの洗浄・回収が始まった。給食用牛乳は1個当たりの容量は200ml、飲み終わった紙パックの1個当たりの重量は約10g。飛鳥小学校の児童と教員合わせて720人いるので、1日あたりの紙パックの発生量は約7kg。

給食を食べ終わった児童たちは各自手洗い場で紙パックを洗い、開いた状態で乾かし、集めていく。紙パックに変わり1年以上経った今、児童たちは洗浄や回収にも慣れた様子。クラスごとに集め、最終的に大きめのゴミ袋(ポリ袋)1つに回収し倉庫に保管される。学校側が洗浄をする事が前提で、奈良市から紙パックのストック用の倉庫が設置された。

リバースが利用、学校はトイレットペーパーを購入

引き取りは谷商店(奈良市、親会社は南都興産)が月に2、3度行う。無償で引き取られた紙パックは家庭紙メーカーのリバース(大阪府泉南市、やはり親会社は南都興産)で古紙ものトイレットペーパーの原料として利用されている。学校側は回収した紙パックで生産された、リバースのオリジナルブランドのトイレットペーパーを購入している。引き取りも生産も親会社が南都興産。つまりグループ会社の中で回収から製造まで行われているので、流れが分かりやすいケースと言えよう。   

小学校の栄養士の方が実際にリバースを見学して、ビデオに撮った映像を見せてもらった。トイレットペーパーが作られる工程を、児童たちに見せる事で環境教育の一環にもなっているのだと言う。児童たちが成長すれば家庭で発生する紙パックや古紙のリサイクルに、引き続き関心を示すことになろう。

京都市、大都市で初めて一斉にスタート

学乳紙パックのリサイクルが始まったのは最近の事ではない。全国牛乳容器環境協議会によると、京都市では平成11年に市内の給食を配給する小学校、養護学校、中学校全てで学乳紙パックの回収を一斉に実施した。政令指定都市で学乳紙パックの回収を全校一斉に行ったのは京都市が初めて。

給食の対象者は児童・生徒・教職員合わせて約7万7,000名。年間で約1,330万個、約120トンの牛乳パックが回収された。これはトイレットペーパーに換算すると約48万ロールに相当するという。もっとも、紙パックだけを原料にしてトイレットペーパーを生産することは少なく、オフィス古紙や模造、ケントなどの産業古紙をブレンドしている。

京都市の場合、洗浄は学校側で行い、乳業メーカーが牛乳を納品しに来る際に紙パックの引き取りも行い、古紙問屋に引き渡される。教育委員会からトイレットペーパーが学校に支給されている。

学校での洗浄は2割足らず

全国牛乳容器環境協議会の04年のデータによると紙パックの洗浄を学校で行っているのは全体の17.4%に過ぎず、乳業メーカーで洗浄をする割合は47.9%となっている。残りの34.7%は廃棄物として処理されている。乳業メーカー側に飲料後の紙パックを引き取る義務はなく、メーカーはサービスの一環として未洗浄の紙パック引き取りを行っている。近年はリサイクルルートが増えてきた事もあり学校での洗浄が促されている。紙パック回収の一番のネックとなる、洗って、開いて、乾かす作業さえクリアすればリサイクルルートにのりやすく家庭よりも学校は浸透が早いといえよう。

牛乳メーカーが学校から未洗浄の紙パックを引き取る場合、工場内に回収・裁断・洗浄の機械を設置しているケースがほとんどとみられる。牛乳メーカーは工場内で発生する廃棄紙パックと一緒に、学校から引き取った紙パックを機械で裁断・洗浄処理し、再生紙メーカーに引き渡している。

回収率、伸び悩む

04年の紙パックの回収量全体は8万7,500トン、内訳は産業損紙が3万4,300トン、使用済みが4万6,300トン、学乳紙パックは6,900トン。紙パック全体の回収率は03年34%、04年35%とあまり伸びていない中、学乳紙パック回収率は03年50%、04年65%と大きく上昇している。学乳紙パックは紙パック全体に占める比率は12%ほどだが、極めて回収ルートにのりやすいので更に伸びる傾向にある。

使用済みというのは家庭から回収される紙パックのこと。主たる回収ルートは3つあり、①店頭回収2.5万トン②行政回収(分別収集)1.2万トン③集団回収0.9万トン。スーパーや生協などの店頭で回収される数量が行政回収と集団回収の合計を上回る。店頭回収ではもっとも店舗数が多いコンビニが紙パックを集めている事例がまだ少ない。全国のコンビニが紙パックを集めるようになると、さらに回収が増えるだろう。

もっと集めて欲しい

日本人と違って欧米人はアバウト。洗って切って乾かすというような手間をかけた作業を嫌う。このため欧米の家庭から牛乳パックはほとんど回収されていない。資源の乏しい日本ならではリサイクル運動ではある。この4、5年、牛乳パックの需給はタイトに推移。価格も堅調だ。家庭紙原料であるケント、模造が静岡工場着値で17円以上しているが、紙パックはそれよりも高い。

古紙もの家庭紙メーカーが必要とする原料の輸出が増え、新聞など他の古紙と同様に不足がち。原料がバージンパルプ100%である紙パックや紙コップをもっと集めて欲しいというのが近年の家庭紙メーカーの要望でもある。

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