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古紙ジャーナル バックナンバー

【学校牛乳紙パック】
回収した6万5千パックを3~4時間で洗浄
洗浄時の使用水量はわずか20リットル(1時間あたり)
乳業メーカーが洗浄する割合は47.9%

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2006年12月11日 717号

カネミヤの紙パック自働分別洗浄処理機

学校給食の牛乳紙パックを自動分別・洗浄する、紙パック専用分別洗浄処理機を開発販売している㈱カネミヤの本社工場(愛知県半田市八軒町128番地・間瀬隆夫社長)と、この洗浄処理機が稼動している近隣の牛乳メーカーのみどり乳業㈱を見学した。みどり乳業では1年半前にカネミヤ製の分別洗浄処理機を導入して、それまで外部委託していた洗浄処理を自社で行うようになった。

1日6万5,000個の牛乳パックを3~4時間ほどで洗浄してパックと中身を分別する。前号では学乳紙パックを生徒が洗浄して古紙業者が引き取っている状況を取材したが、今号では乳業メーカーが回収・洗浄して古紙業者に持ち込む例をレポートする。

金属加工のカネミヤ

平成元年に創業したカネミヤは金属加工メーカーだが、近年では環境機器と呼ばれる様々なリサイクルを推進する処理機を開発している。包装自動分別処理機の「Bun―Bun」は袋と中身の分別を行う。コンビニからの廃棄弁当やおにぎりなどを処理機に入れると、プラスチック容器包装と破砕された生ゴミに分けられて出てくる。スープ類や乾燥剤の分別も容易に行える。

もう1つが洗浄機能もついたポリ袋自動分別洗浄処理機の「Bun―Sen」。今まで廃棄していた汚れたビニールを分別・洗浄・脱水まで行う。農業用の汚れたビニールが真新しいビニールの様に洗浄されていたのには驚いた。

これらの機械を紙パック専用に改良したのが紙パック専用分別洗浄処理機の「Bun―SenKSW945」である。1時間に300キロの処理能力を持つ通常型と1時間に100キロの処理能力の小型タイプがある。3年のテスト期間を経て1年半前から販売を開始し、廃プラ用と合わせて60台の販売実績を誇る。販売先は主に乳業メーカーだが産廃業者の納入も増えてきている。

水の使用量が驚くほど少ない

カネミヤ製の主な特徴は、水の使用量が驚くほど少ないこと。例えば通常6万パックを洗浄するのに2,000リットルの水を要するが、Bun―Senはわずか20リットルの水で済む。100分の1の使用量だ。その秘密はブラシの摩擦によって汚れを落とすところにある。つまり洗濯機のような水と回転による洗浄ではなく、摩擦による洗浄である。汚れの激しい物も洗浄できるように、最大80リットルの水量を出すことができる。

開発で苦労したところを聞くと、牛乳パックを完全に開かせるのが困難、紙粉が出るのをどれだけ抑えられるか、水の使用量をいかに抑えられるか、が課題だったとのこと。これらの問題を1つずつクリアーしていって市販されたのが昨年の夏。同製品はベルトコンベアなどを含めたシステムとして販売されており、金属加工から組み立てまで全て自社内で行われ、セミオーダー製で作られている。通常型の洗浄機システムの価格は980万円、小型タイプは350万円。

8年前にビンから紙パックに切り替え

みどり乳業は半田市や刈谷市など愛知県と三重県の学校給食用牛乳を手がけ、98年にビンから紙パックに切り替えて供給している。ビンから紙パックへの変換は全国的な流れだが、その理由としては①ビンは重いし割れる②紙パックの運賃は安い③紙パック牛乳の方がビンの牛乳よりも保存がきく④ビンの洗浄装置のメンテナンスや、ビンが割れていないか汚れが残っていないかをチェックする人件費などの経費がかかる⑤ビンだと回収の必要性があるが、紙パックだと回収の必要性がない等が挙げられる。

しかし愛知県では学校向け牛乳の紙パックは牛乳メーカーが引き取らなければならない。同社も以前は焼却処分をしていたが2年前に市の環境保全方針で牛乳パック類の焼却が禁止され、その後は山梨県の廃棄物業者に引き取ってもらっていたが、処理費用や運賃が高いため自社での処理方法を模索していた。そして1年半前、高い品質レベルの洗浄処理が可能で、引き取り先の古紙業者も確保できたことから、カネミヤ製の洗浄機を導入した。

その日のうちに洗浄

給食が終わった牛乳パックが、ポリ袋に入れられてみどり乳業に戻ってくる。臭気対策で給食が終わって回収されたものをその日の内に洗浄するので、洗浄機の稼動は早くても1時半以降に行われる。200ミリリットルの牛乳パックが1日6万5,000パック、約400キロの量は100校前後の回収量か。ポリ袋を破って中身の牛乳パックをコンベアに載せていく。

中身が入っているものもサイズが違うものも問題ない。コンベアに乗せられたパックはほどよくバラけながら分別洗浄機に入っていく。牛乳パックが入ったドラムは高速回転しながら棒状のもので破体されて中身が抜け、さらにゴムブラシの摩擦によって汚れが落ちて脱水される。中身の牛乳と紙パックは完全に分離される。

実際に洗浄した紙パックを見た感想は、破体といっても手で破ったような感じで中身だけがきれいに洗い落とされていて、水の使用量が少ないために含水率も少なく、製紙原料として申し分ない。洗浄された牛乳パックはフレコンに入れて、車で5分ほどの宮崎の半田営業所に持ち込まれている。ちなみにみどり乳業では三重県四日市市の学乳紙パックの回収も行っているが、四日市市のものは生徒が全部洗浄して、こちらも宮崎グループに持ち込まれている。四日市市の回収量は3万5,000パックで、愛知県のものと合計すると10万パック、重量換算で600キロ超になる。

以前は引き取りコストに年間約300万円以上を支払っていたのが、分別洗浄することによって製紙原料として売れるようになった。仮にキロ5円で古紙問屋に売却するとしたら、1日600キロ×キロ5円×200日で年間60万円。土日や夏休みなどは給食がなく、実際に回収されるのは年間で200日くらい。コスト的には以前に比べて雲泥の差である。

現在も3,700トンの学乳紙パックが焼却

04年の学乳紙パックの回収量は6,900トン。回収率は03年の50%から04年は65%と大きく上昇している。65%のうち、学校で紙パックを洗浄しているのが17.4%、乳業メーカーで洗浄する割合が47.9%となっている。紙パック全体の回収率35%と比べると回収ルートに乗りやすく、学校側の協力や市町村によっては乳業メーカーの引き取り義務があるなど、学乳は回収されやすい環境下にある。しかし依然として3,700トン弱が廃棄物として焼却されているのも事実。

その背景には、①学乳紙パックの回収方法が市町村によって違う、②学校給食は農水省や文部省や教育委員会やメーカーが絡んでいて複雑な体系になっている、③「儲からない学乳」と言われている入札制が乳業メーカーを圧迫して処理費用まで賄えない、④廃掃法の見解の違いによって乳業メーカー側が引き取りを拒否する例もあるーなど様々な問題が見え隠れする。

ともあれ、古紙もの家庭紙メーカーが喉から手が出るほどほしい、上質の原料である紙パック。学乳は決まった数量が回収され、分別・洗浄された品質の高いものが望めるので、なおさら原料として使いやすい。前号では学乳紙パックを生徒が洗浄して古紙業者が引き取っている状況を取材し、今号では乳業メーカーが回収・洗浄して古紙業者に持ち込む例を取材した。

生徒が洗浄することは環境教育の一環になり、メーカーが洗浄することは有価で売却できることになり、企業のイメージアップにも繋がる。いずれにせよメリットが多い。現在もバージンパルプ100%の学乳紙パックが年間3,700トンも焼却されており、各市町村による指針と回収システムの確立が急務である。

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